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【通信9月】継続雇用制度と無期転換ルール特例法【労務】


 助成金は、計画→実行→申請と3段階を踏むのが通常ですが、65歳超雇用推進助成金は就業規則を変更し従業員に周知し、労働継続雇用制度上の労働者の場合に、労働契約法による無期転換ルールによらない特別法があります。
ただし、継続雇用制度を導入している会社であることを労働局に届けなくては特例を受けることができません。無期転換ルールは平成25年4月に施行されていますので、平成30年3月までに労働局から認定を受ける必要があります。まだ、時間はありますが確認してみましょう。


○ 高齢者雇用安定法

1. 65歳定年
2. 定年なし
3. 60歳~64歳まで定年の場合には、65歳まで希望者全員の雇用継続制度を設ける
 のいずれかを会社は選択し、就業規則等に定めることになっている。


○ 労働契約法

有期労働契約(期間を定めた契約)が何度も更新され、契約期間の通算が5年を超えた労働者が希望した場合、使用者はその労働者を無期労働契約に転換しなければならない。


○ 特例法・・・・認定が必要!

上記高齢者雇用安定法3の場合で、定年後継続雇用制度があり、労働者を1年更新などで65歳まで雇用契約をしている会社が、その労働者を無期転換にしたくない場合には、労働局に就業規則等を添付し「第2種計画認定・変更申請書」を提出し、認定を受けなければなりません。

 ご紹介した「第2種計画認定・変更申請書」は厚生労働省HPにあります。添付書類も案内されていますのでご覧ください。
 御社の継続雇用制度の状況をチェックして、申請を行うことになります。
 申請をすればいいのではなく、認定を受けることが必要ですので、平成30年3月まで時間があるとは思わずに、申請を行うことをお勧めします。ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。

改正雇用保険法 【平成29年1月から65歳以上も被保険者に】


改正雇用保険法が平成28年3月29日に成立しました。従来は65歳以上の高齢者は引退する者が大半で、新たに就労する場合でも週20時間未満の短時間勤務が多かったのですが、最近は70歳までの継続雇用制度を導入する企業もあり、フルタイムに近い雇用も増えてきました。従来の考えは今の社会情勢にそぐわなくなり、65歳以降に採用された者も雇用保険の被保険者として給付されるように法改正がされたわけです。

〈 現行の雇用保険 〉
労働保険料の年度更新は4月1日~3月31日を1年としているため、4月1日時点で64歳の労働者から雇用保険料は免除となっています。しかし、65歳以降も引き続き雇用されていると、雇用保険料は徴収されなくても高年齢継続被保険者となります。65歳以降に失業した場合には「高年齢求職者給付金」が一時金で支給されます。65歳以降に採用された者は、雇用保険の被保険者にはなりません。

〈 平成29年1月1日施行 何が変わるの? 〉
平成29年1月1日から、高年齢継続被保険者も65歳以降の新採用労働者も高年齢被保険者となります。これまで、65歳以上の者を対象としていなかった次の給付も見直され、それぞれの支給要件を満たす場合には65歳以上の者も対象となります。

1. 就職促進手当(再就職時に支給される手当)、移転費、求職活動支援費

2. 教育訓練給付金

3. 育児休業給付金、介護休業給付金

4. 高齢者に雇用保険料免除を廃止(ただし、経過措置があり、平成32年4月1日分から徴収)

〈 老齢年金と雇用保険の関係は? 〉
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給すると、65歳未満に支給される老齢年金は支給停止となりますが、65歳以上の者が受ける高齢者求職者給付金(一時金)については、現行制度と同様に老齢年金と併給されます。

届出の方法はこれから・・・
すでに、65歳以降に採用され、雇用保険の被保険者ではない人もいると思います。厚生労働省は、この改正に伴い必要になる届出等は今後案内となります。

年金事務所適用調査

年金事務所の調査には「新規適用調査」「適用調査」「算定時調査」があります。管轄年金事務所により用意する書類や調査周期は異なりますが、最近は力を入れて調査を行い、適用対象にも拘わらず未適用者がいないかどうかの確認がされています。とはいえ、労働基準監督署や税務署のように突然会社に来て賃金台帳を抑えるということはなく、事前に連絡があるので、あわてずに対応ください。

≪ 用意する書類 ≫

1. 労働者名簿または雇用契約書(労働条件通知書)
2. 賃金台帳または給与明細書
3. 出勤簿⇒賃金台帳に勤怠が記載されていれば省略
4. 源泉所得税の領収書
5. 各届の事業主控え1年分(保管義務は2年間)


≪ 主な調査の内容 ≫


1. 標準報酬月額と月額変更届の未提出の確認
   ⇒ 通勤交通費も賃金に含む。保険料が報酬にあった適正なものかどうか。

2. パート・アルバイトの社会保険加入状況
   ⇒ 労働時間が適用対象であるにもかかわらず、正社員ではないから加入させていないはNG!

3. 入社時からの社会保険加入の確認
   ⇒ 試用期間に加入させていない事業所も見受けられるが、NG!

4. 賞与の状況   
   ⇒ 賞与の届を行い、保険料の徴収がされているか。

従業員が500名超の会社では、平成28年10月から週20時間の従業員にも社会保険加入の適用拡大(他にも条件アリ)となります。社会的な矛盾とならないように、週30時間以上の従業員が社会保険に加入していない状況をなくすために調査員を増やして調査が行われています。労働保険、社会保険、また助成金申請にしても、上記書類は必要になるので、整理しておきましょう。

介護支援取組助成金 新設


介護休業制度を知らずに、介護離職に至るケースが見受けられ社会問題となっています。会社も従業員も介護の法律や社会保障制度を知らないことが一因です。そこで、会社内で介護休業や介護休暇を勉強し、介護のための所定労働時間の短縮などの措置を設けた事業主への助成金が新設されました。具体的には、厚生労働省が指定する資料に基づき、以下の取り組みを全て行った場合に支給されます。


(1) 従業員の仕事と介護の両立に関する社内アンケート
(2) 介護に直面する前に従業員へ社内研修の実施とリーフレットの配布
(3) 介護に直面した従業員への支援(相談窓口に設置と周知)

支給額:1企業1回のみ60万円

*ひとことプラス*

上記のアンケートも、社内研修資料、リーフレットも助成金のHPにあるものを利用できます。ただし、トモニンの使用には「両立支援のひろば」への登録が必要です。また、介護休業制度や介護所定労働時間短縮などの措置は就業規則に規定が必要です。(従業員10人未満は、就業規則のような社内規定)
ご不明な点がありましたら、ご連絡ください。

時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定書)

厚生労働省は2015年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し2311事業所に違法な時間外労働があり是正勧告等をしています。また東京労働局の過重労働撲滅特別対策班(カトク)は、大手靴販売店、大手量販店を36協定書違反で書類送検をしました法違反が是正されない場合は、司法処分を含めて厳正に対処され始めています。皆様の会社では、適正な36協定書を届出していますか。

(1)36協定書の届出せずに、時間外労働・休日労働をさせてはいけない!

労働基準法により、1日の労働時間は8時間、週間の労働時間は40時間までと定められています。この労働時間を超えて労働させる場合には、労使協定を結び労働基準監督署に届出しなければなりません。月日を起点とする協定書を届出る事業所が多いのですが、決算期などに合わせて年間時間外労働時間の管理をしている事業所もあります。協定書を届出せずに、時間外労働・休日労働をさせることは、労働基準法違反です。

 

(2)時間外労働はどのくらいさせられるか?

厚生労働省告示 「時間外労働の限度に関する基準」 で労働基準監督署は指導を行っています。

期間 限度額 期間 限度額
1週間 15時間 1ヵ月 45時間
2週間 27時間 2ヵ月 81時間
4週間 43時間 3ヵ月 120時間
1年 360時間


 

(3)1か月時間外労働45時間以上の月がある場合は?

特別の事情がある場合には、労使の協議を経て、6回を限度として45時間超の時間を定めることはできます。ただし、割増賃金率は2割5分を超える率を定めなければなりません。

特別条項例) 6回を限度として1か月60時間まで、延長することができる。なお、延長時間が45時間を超えた場合の割増賃金率は2割7分とする。

 

*ひとことプラス*

36協定書は時間管理をしている事業所ごとに届出なければなりません。特別条項をつけると、何時間でも時間外労働をさせられることになりますが、80時間を超えて届出ると、労働基準監督署から毎月のように改善の報告書提出を求められることもあります。平成28年度は、たとえ一人の従業員でも80時間を超えて働くことがないように、労働局、労働基準監督署とも指導を強化するようです。

 

 

正規雇用転換の留意点

有期労働から正規雇用へ転換するにあたり、一定の基準を設けて就業規則に定めることになります。助成金を支給する会社は、当然に就業規則が労働基準法に違反することのない内容であることが求められます。また、正規雇用になるということは、処遇や福利厚生がよくなるということだけでなく、責任のある仕事を担うことや異動・転勤がありえるといった労働条件もきちんと説明することが重要です。

 

*ひとことプラス*

無期雇用と正規雇用の違いを質問されることが多いのですが、雇用期間は無期ということは同じですが、他の労働条件が異なることになります。例えば、責任ある立場では働けない、8時間勤務はできないという場合に無期雇用に転換するということも考えられます。

 

注目の助成金 キャリアアップ助成金の見直し 増額!

政府は非正規雇用労働者の正社員転換を加速していく方針を掲げています。正社員転換・待遇実現本部は1月28日、平成28年度~平成32年度までの5年間を計画期間とする「正社員転換・待遇改善実現プランを」公表しました。不本意非正規雇用労働者の割合を全体で10%以下に低減するなどの目標が盛り込まれています。これに伴い、キャリアアップ助成金も見直され、増額されました。平成28年度もキャリアアップ助成金は活用できる可能性は高いでしょう(助成金は予算が通らないと公表されない)。キャリアアップ助成金は6コースありますが、主な正規雇用等転換コースを以下に紹介します。

平成28年3月31日までに転換等を行う場合 (平成28年度の続行可能性大)       中小企業の場合

適用内容 支給対象者1人当たり 支給額 支給対象者が母子家庭の母・父子家庭の父の場合 派遣労働者を直接雇用した場合
有期労働から正規雇用へ転換等

60万円

10万円加算

30万円加算

有期労働から無期雇用へ転換等

30万円

5万円加算

期労働から正規雇用へ転換等

30万円

5万円加算

 

労務実務 配偶者手当 厚労省有識者研究会

人事院の平成27年の職種別民間給与実態調査によると、家族手当を設けている会社は76.5%。そのうち配偶者手当を支給している割合は90.3%。その要件として扶養控除の基準に合わせている会社が84.9%となっている。扶養基準による配偶者手当が女性就労を抑えている一因ともみられ、研究会で議論し、民間企業に賃金制度見直しに関する意見をまとめる予定となっている。

 

*ひとことプラス*

時間外手当の計算基礎とする賃金から家族手当を外すことができるため、導入している会社は多いです。しかし、扶養控除の基準に合わせて103万円、社会保険の扶養基準に合わせて130万円に設定されていることが、女性の就労を抑える一因と考えられています。そこで、研究会の意見書を待たずとも、配偶者手当の見直しをする会社の動きがあり、扶養要件を外す、配偶者手当を廃止、子ども手当を厚くする等の賃金制度変更が行われています。

 

マイナンバー 雇用継続給付申請を事業主経由で提出

平成28年2月16日以降、雇用継続給付(育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付)の申請書について、原則、事業主を経由して申請を行うことに厚労省令が改正されます
 

1.原則、被保険者申請を事業主経由となり、労使協定の締結が不要

  雇用継続給付金の申請は、原則被保険者が行うことになっており、事業主が代理で行う場合には、

  労使協定の締結が必要だったが、平成28年2月16日以降は不要となる。

2.事業主は、予め雇用保険の手続きを目的としたマイナンバーを記載

  事業主は、番号法上の個人番号関係事務実施者として申請を行う。

  マイナンバー使用目的を従業員に示しておく必要がある。

3.平成28年2月16日より、ハローワークで代理権や本人の個人番号確認等を行わない。

  委任状や従業員のマイナンバーが本人のものであるかどうかの書類(住民票など)の提示は必要ない。

 

 

 

労務実務:【年次有給休暇の時間単位付与】

厚生労働省は労働時間の短縮を進める一つの手段として、年次有給休暇取得を促しています。年次有給休暇は1日単位が原則ですが、半日休暇、時間単位の付与も認められています。
時間単位の付与を導入している企業はまだ少ないのですが、運用や注意点を挙げます。

 

運用のポイント

(1)総論
時間単位の付与は労使協定により5日の範囲内。(平成22年4月1日改正労基法)時間単位であり、分単位は認められていない。前年度から時間単位年休の繰り越しがあっても、当年は5日まで。

(2)時間単位年休の賃金額
①平均賃金 ②所定労働時間の通常の賃金 ③標準報酬日額(労使協定が必要)をその日の労働時間で割った額。①~③のどれにするかは、就業規則で定める。

(3)時季変更権
使用者による時季変更権は認められるが、時間単位での請求を半日、日単位への変更はできない。

(4)計画年休との関係
労働基準法第39条第6項の規定による計画的付与として時間単位年休を与えられない。

(5)時間単位年休1日の時間数
所定労働時間が時間に満たない端数がある場合は時間を切り上げて計算を行う。1時間以外を単位にすることもできるが、1日の所定労働時間を上回ることはできない。

例)所定労働時間が7時間30分で5日分の時間単位年休とした企業の場合
⇒ 30分を切り上げて、1日8時間とする。
⇒ 8時間×5日=40時間分の時間単位年休
注意点:7時間30分×5日=37時間30分を切り上げて38時間ではない!

(6)労使協定に規定する内容
①対象労働者の範囲 ②時間単位年休の日数 ③時間単位年休1日の時間数 ④1時間以外を単位にする場合はその時間数

*ひとことプラス*

年次有給休暇の取得率アップを義務化する動きがあります。年次有給休暇の計画的付与も合わせて職場が混乱しない運用が求められますね。ご不明な点があれば気軽にお声掛けください。