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ニュース

【通信7月】カスタマーハラスメント(カスハラ)対応【労務】


 顧客による理不尽・悪質なクレームを指すカスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」)という言葉は、ここ数年でよく聞かれるようになりました。最近はカスハラを深刻な問題ととらえ、接客業を中心にカスハラ対応に各企業の勢いは増しています。


1. 運送業
 SNS上での中傷のリスクのあったバスやタクシー運転手の氏名表示が、2023年5月に廃止された

2. 旅館業
 2023年12月に施行の改正旅館業法で、不当な要求等を行う者に対し宿泊拒否ができるようになった

3. 東京都
 カスハラ防止条例を制定する方向を示している

4. JR東日本をはじめとして各企業の事例が続いている
 カスハラ対応指針を策定・公表 

5. 自治体・店舗等
 SNS上等での中傷のリスクがあるため、名札は名字のみにし、名前の削除

 厚労省はカスハラ対応基準等を示した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表しています。カスハラによる労災認定もされるようになり、自社の従業員を守ることが求められています。

【通信7月】改正育児・介護休業法(令和7年4月1日~)【法改正】


 令和6年5月24日、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」が成立し、令和6年法律第42号として、同月31日の官報に公布されました。施行期日は、基本的には令和7年4月1日ですが、公布日から数段階に分けて施行されます。まずは全体像を確認しておきましょう。

改正の全体像(主要なもの)

●令和7年4月1日から施行されるもの

【育児関係】
□ 所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
□ 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
□ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
□ 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超え(現行1,000人超え)の事業主に拡大する。

【介護関係】
□ 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
□ 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
□ 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
□ 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

●公布の日から起算して1年6か月以内において政令で定める日から施行されるもの
【育児関係】
□ 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。
□ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・
配慮を事業主に義務付ける。

 これらの改正事項が施行されるまでに、就業規則(育児・介護休業規程)の改訂や、人事関係書類の整備が必要になります。改正内容を理解しておきましょう。
 不明な点等がありましたら、気軽にお声掛けください。

【通信6月】熱中症特別警戒アラート(一段上を新設)【安全衛生】


 環境省は、気象庁との協力のもと、すでに2024年4月24日から「熱中症特別警戒アラート」が発表されていますが、10月23日まで運用されます。このアラートは、国内の暑さが異常な高さに達し、熱中症による重篤な健康障害が発生する可能性がある場合に発表されます。日本気象協会は「ここ10年の暑さを上回って、2023年に匹敵するような猛暑になる可能性があり、残暑も厳しい」と見通しを立てています。発表された場合は、外出やイベントの中止、延期、変更を促しています。

熱中症特別警戒アラートとは

● 都道府県内において、全ての暑さ指数情報提供時点における、翌日の日最高暑さ指数(WBGT)が35に達する場合等に熱中症特別警戒アラートを発表する。

● 熱中症の危険性に対する気づきのため、熱中症警戒アラートは、翌日・当日の日最高暑さ指数(WBGT)33に達する場合に発表される。

WBGTは環境によって大きく異なるため、外仕事の場合には、黒球の付いたWBGT測定機器を用いて独自に測定することをお勧めします。

【通信6月】改正雇用保険法が成立【労働保険】


 令和6年5月10日、改正雇用保険法が成立しました。改正項目は、育児休業に関する給付新設、教育訓練やリ・スキリング支援の充実や雇用保険の適用拡大など、多岐にわたります。(育児休業に関する給付新設を含む子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案は参議院で審議中)。

 主な3つの改正

● 自己都合退職者の基本手当(令和7年4月1日~)
 ・公共職業訓練等を受ける場合は、給付制限なく受給できる。
 ・自己都合退職の給付制限が1か月に短縮。ただし、5年間で3回以上自己都合退職を行うと給付制限期間は3か月になる。

● 育児休業に関する新給付(令和7年4月1日~)
 ・出生後間もない期間に両親が14日以上育児休業した場合は67%に加えて13%が最大28日分支給
 ・育児短時間勤務中に支払われた賃金の約10%が支給

● 雇用保険の適用拡大(令和10年10月1日~) 
 ・「31日以上継続して雇用されることが見込まれ」かつ週10時間以上

今回の雇用保険の改正は、労働の流動化を妨げず、少子化対策、ダブルワーカーへの対応を目的としているようです。働き方の柔軟性が求められているのです人事担当者の手続きが増えそうですね。

【通信6月】退職金制度の見直し【労務】


 定年の引き上げや基本給ベースアップ等により、退職金制度について見直す企業が増えています。退職一時金の算定には基本給連動型がありますが、気づいたときには退職金支払債務が膨大になり経営上の大きなリスクを招くことがあるので注意が必要です。また、令和5年5月に「三位一体の労働市場改革の指針」を公表しましたが、労働移動の円滑化のため、退職金制度の見直しを促しています。

1. 基本給連動
 退職時の基本給×勤続年数別の支給率
計算が比較的簡単で管理が容易のため、多くの企業で採用されていた

2. ポイント制
 退職時の累計ポイント×単価(○○円)
 年度毎に定められたポイントを累積
 ポイントの種類:資格、等級、勤続年数、人事評価による点数

3. 別テーブル
 退職金用テーブルを作成

4. 定額方式
 例:10年以上勤務者に一律1000万円

 
成長分野への労働移動の円滑化(三位一体の労働市場改革の指針から)

【退職金制度に関して】

1. 退職所得課税制度等の見直し
 退職所得課税について、勤続20年を境に勤続1年あたりの控除額が40万円から70万円に増額されるが、長期勤続を優遇する税制が労働移動の円滑化を阻害しているとして見直しを行う。

2. 自己都合退職に対する障壁の除去
 企業の退職金制度設計にかかわる内容だが、厚労省公表の「モデル就業規則」の退職金の条文を改定。
 「自己都合による退職者で勤続●年未満の者には退職金を支給しない」「自己都合退職の場合、会社都合退職より支給率を下げる」旨の規定を削除した。

退職金は法律で支払いが義務づけられていません。自己都合退職に対する障壁の除去については、労働者にはメリットですが企業には負担が増えることになります。政府の指針だとしても縮小する程度が無難でしょう。

【通信5月】在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外【労務】


◆ 割増賃金の基礎となる賃金(原則)

 割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金として、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金が法律に定められています。在宅勤務手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入されていました。

◆ 在宅勤務手当を割増賃金の基礎に算入しない場合
 4月5日の通達(基発)により在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当は賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないとされました。在宅勤務手当が実費弁償とされるために必要な計算方法は厚労省HPに示されていますが、国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で示されている計算方法を基本としています。

 

【通信5月】求職者等への職場情報提供に当たっての手引き【労務】


 厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」が策定・公表されました。採用してもミスマッチですぐに離職になっては人事担当者の負担が多くなります。本手引きに沿って、求職者等が求める情報と、企業が情報提供にあたって注意すべき点をみていきましょう。

求職者等が開示・提供を求める主な情報

(1) 企業等・業務に関する情報
 ・企業等の安定性
 ・事業、業務内容
 ・入社後のキャリアパス 等

(2) 職場環境に関する情報
 ・在宅勤務、テレワークの可否
 ・育児休業や短時間勤務等に関する制度
 ・職場の雰囲気や社風・社員の定着率 等

(3) 労働条件・勤務条件
 ・賃金(昇給等も含む)
 ・所定外労働時間(残業時間)、所定労働時間
 ・有給休暇取得率・副業、兼業の可否・転勤の有無 等

【転職者の場合】
 ・経験者採用割合
 ・経験者採用の離職率
 ・研修制度
 ・オンボーディング制度 等

【非正規雇用労働者の場合】
 ・就職後のキャリア形成
 ・正社員転換制度の有無および正社員転換実績 等

 
 
情報提供にあたってのポイント

 ・情報量が多くなりすぎないように注意する
 ・数値情報を提供する場合は、数値の定義を補足する
 ・更新時期や制度の利用実態などもあわせて正確な情報を提供する
 ・実績が低調であっても、改善に向けた取組みや今後の方針とあわせて情報提供する

【通信5月】雇用契約書(労働条件通知書)はデータ保存【労務】


 令和6年4月1日施行の改正により、労働基準法に基づく労働条件明示事項が見直されています。4月1日以降に交わす雇用契約書は改正による内容になっていますか?厚生労働省HPの「モデル労働条件通知書」の様式も変更されています。また、国税庁から、電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」に対する回答として、「労働条件通知書」に関する見解が示されました。

 雇用契約書(労働条件通知書) 国税庁の見解

「雇用契約書(労働条件通知書)」をメールで送信→電子取引データに該当するか?
→ 電子取引データとして保存する必要がある

*詳細は以下の通り、確認しておきましょう
改正された厚生労働省のモデル労働条件通知書(一般労働者用:常用、有期雇用型)の一部
*赤字の部分が労働基準法施行規則などの改正に伴う変更箇所

国税庁の見解(「労働条件通知書」は電子取引データに該当する)

☑ 従業員の雇用に際して相手方に交付する「労働条件通知書」や相手方との間で取り交わす「雇用契約書」には、通常、契約期間、賃金、支払方法等に関する事項等が記載されており、電子帳簿保存法第2条第5号に規定する取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などに通常記載される事項)に該当します。
 したがって、従業員を雇用する際「労働条件通知書」データを電子メールに添付して相手方に送信し、また、クラウドサービスを利用して「雇用契約書」の授受を行うなど、その取引情報の授受を電磁的方式により行う場合には、その「労働条件通知書」データや「雇用契約書」データは、電子取引データとして保存する必要があります。

 期間の定めのない「正社員等」と期間の定めのある「契約社員」では、雇用契約書(労働条件通知書)の記載内容が異なります。再度確認をしておきましょう。また、雇用契約書(労働条件通知書)をメール添付送付やクラウドサービスを利用した場合には、電子取引データとして保存を忘れずに!

【通信4月】年次有給休暇管理簿は3年間保存【労務】

 年次有給休暇を4月1日に一斉付与をしている会社もありますが、新年度になり年次有給休暇管理簿の更新を行ったでしょうか。以下を確認しておきましょう。

☑ 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者含む)に対して、年5日は、使用者が取得をさせることが義務

☑ 労働者ごとに年次有給休暇の取得日を明記(年次有給休暇管理簿)
  年次有給休暇の取得日数だけでは足りないことに注意!

☑ 年次有給休暇管理簿は3年間保管

【通信4月】2023年度転職率は7.5%高水準をキープ【労働環境】


 新卒で採用された正社員でさえ、定年まで働くかはわからないと答える人が多くなっていますが、転職サイトへの登録が「キャリアの健康診断」というフレーズのCMからも、転職へのハードルが低くなっている感じがします。
 転職動向をマイナビが正社員で働いていて2023年に転職をした20代~50代の男女1500人を対象に実施した調査の結果から見てみましょう。

転職動向調査2024年版 (マイナビ2023年調査から)

●正社員の転職率
2016年3.7% 2017年4.2% 2018年5.3% 2019年7.0% 2020年4.9%(コロナ禍初年)
 2021年7.0% 2022年7.6% 2023年7.5%
 *直近3年は7%台の高水準がキープされている。
記載はしていないが、性別・年代でみると、男性は30代、女性は20代が多くなっている。

●転職後年収が上がった割合
 20代:男性39.1% 女性28.2%
 30代:男性45.1% 女性38.5%
 40代:男性43.3% 女性29.0% 
 50代:男性45.4% 女性31.1%
 *転職によって年収が上がるケースが多くなっている

転職者の割合は引き続き高い状況にありますが、まずは自社で社員が定着し、労働市場から人材が確保できる労働環境を整えていきましょう。若年層は賃金や働きやすさだけではなく、自身のキャリア形成ができる会社かどうかも見ているようです。