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【通信12月】2035年日本は385万人相当の労働力不足の見込み【労働情報】


 今年に入り「採用がより厳しくなったという」人事担当者からの声が数多く届きました。パーソナル総合研究所と中央大学が共同研究をした「労働市場の未来推計2035」の結果を取り上げてみましょう。

「労働市場の未来推計2035」 主なポイント


1.2035年は2023年よりも労働力不足が1.85倍深刻になる
 日本では1日あたり1775万時間(385万人相当)の労働力不足が見込まれる

2.就業者数(労働供給)は、増加する
 就業者数(労働供給)は、2023年時点の6747万人に対して、2030年は6959万人、2035年には7122万人と増加が見込まれる

3.女性の労働力率の上昇幅が大きい
 性年代別にみた労働力率は2023年時点から全体的に上昇していくが、特に女性60代の上昇が大きいと見込まれる

4.外国人就業者数は、増加する
 外国人就業者数は、2023年時点の205万人に対して、2030年に305万人、2035年には377万人と増加していく見込みである

5.就業者一人あたりの年間労働時間は減少
 就業者一人あたりの年間労働時間は、2023年の1850時間に対して、2030年に1776時間、2035年には1687時間と減少していく見込みである

6.「サービス業」「卸売・小売業」「医療・福祉」の労働力不足が厳しい
 産業別で見ると、「サービス業」が532万時間、次いで「卸売・小売業」が354万時間、「医療・福祉」が226万時間の労働力不足となる

7.「事務従事者」「専門的・技術的職業従事者」「サービス職業従事者」の労働力不足が厳しい
 職業別でみると、「事務従事者」が365万時間、次いで「専門的・技術的職業従事者」が302万時間、「サービス職業従事者」が266万時間、「販売従事者」が245万時間の労働力不足となる

8.東北エリアの労働力不足率が高くなる
 都道府県別では、特に東北エリアの労働力不足率が高くなる見込みである
 労働力不足率の上位は秋田19.1%、山形16.4%、長崎16.2%

2035年は遠い未来ではありません。内閣府は働き方改革とともに生産性アップの工夫を企業に求めています。労働力確保と不足を補う対策を今から考えていかなければなりませんね。

【通信11月】児童手当制度の変更【実務】


 令和6年10月1日から児童手当制度が改正されました。今回の改正は子育て支援の強化を目的としており、子供を育てる従業員の生活に密接に関わるものです。今回の改正により新たに支給対象となる人は令和7年3月31日までに自治体に申請すると、令和6年10月分から受給できます。


1. 支給対象の拡大 中学生まで→高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)
2. 所得制限の撤廃 従来の児童手当には所得制限があったが、撤廃された
3. 支給額の増額  第3子以降の児童に対する支給額が月額30,000円
     →カウント方法は上の子が22歳年度末まで対象
4. 支給時期の変更  年3回→隔月(偶数月)の年6回

【通信11月】保育園「落選狙い」問題に対応【雇用保険】


 9月30日に就労証明書の新様式が定められ、10月1日より申込み受付が順次開始されています。
保育所の4月入所申込みについては、育児休業を延長する目的で競争率の高いところに申し込んだりする「落選ねらい」が問題視され、対応策として以下に変更となります。

令和7年4月保育所入所申込み分就労証明書記載の留意点

●様式の変更点
 新様式では、次の5つの記載欄が追加されました。

① 入所内定時育休短縮可否
② 育休延長可否
③ 単身赴任期間(予定を含む)
④ 備考欄
⑤ 保護者記載欄(児童名、生年月日、施設名、利用・申込み状況に関するチェック欄)
*自治体によっては夜勤に関する状況を別紙で提出することができ、就労証明書と同様に企業に記歳を求めているところもある

●育児休業給付金の支給期間延長の要件と手続きも見直し
*令和7年4月1日からは育児休業給付金の支給期間の延長手続きも見直され、従業員が記載する申告書と保育所等の利用申込書の写しも、ハローワークに提出
*また、支給要件として、市区町村に申し込んだ内容が、速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであることも必要となる

令和7年4月1日以後に育児休業に係る子が1歳に達する場合または1歳6カ月に達する場合に適用されますので、該当する育児休業取得者に案内しておくとよいでしょう。

【通信11月】労働者不足の対処方法~厚生労働省調査【労務】


 厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」(※)が公表されており、調査項目の1つとして、「労働者不足の対処方法に関する事項」が盛り込まれています。
 人手不足に悩む事業者(同調査では労働者が不足している事業所の割合は80%に上る)にとって参考になる内容です。確認しておきましょう。
(※)令和6年8月1日現在の状況について、令和6年8月1日~8月7日に調査。

労働者不足の対処方法

●過去1年間(令和5年8月~令和6年7月)に行った労働者不足への対処方法について、割合の大きかったものから順から見てみます。また、今後1年間(令和6年8月~令和7年7月)についての結果も見てみましょう。(いずれも複数回答)


【1位】「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」
 (過去1年間59%、今後1年間60%)。
【2位】「在職者の労働条件の改善(賃金)」
 (過去1年間55%、今後1年間48%)。
【3位】「臨時、パートタイムの増加」
 (過去1年間40%、今後1年間41%)
【4位】「派遣労働者の活用」
 (過去1年間38%、今後1年間35%)
【5位】「求人条件の緩和」
 (過去1年間36%、今後1年間34%)
 *求人条件の緩和内容としては、賃金、労働時間、休暇、学歴、必要資格・経験等の緩和

【6位】「離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用」
 (過去1年間34%、今後1年間36%)
 *離転職の防止策としては、労務管理(労働条件以外の福利厚生、労使関係など)の改善や教育訓練の実施等
 *再雇用制度には定年退職者だけでなく、子育てのためにいったん退職した女性などを再雇用する仕組みも含まれる

【7位】「在職者の労働条件の改善(賃金以外)」
 (過去1年間31%、今後1年間31%)
 *在職者の労働条件の改善内容としては、休暇の取得促進、所定労働時間の削減、育児支援や復帰支援制度の充実等

【8位】「配置転換・出向者の受入れ」
 (過去1年間25%、今後1年間24%)
【9位】「省力化投資による生産性の向上・外注化・下請化等」
 (過去1年間16%、今後1年間19%)

 「募集をしても応募がない」「若年者の採用が難しくなった」「退職者が相次ぐ」と人事担当者から聞かれるようになりました。人手不足により、閉店や事業縮小等も起きています。どの企業においても、人材確保は重要な企業の課題となっています。

【通信10月】自転車の危険運転 罰則強化【労務】


 令和6年11月1日道路交通法の改正により、自転車の危険運転に新しく罰則が整備されました。特に通勤で自転車を利用している社員には注意を促しましょう。刑事罰対象の他、自転車運転者講習を受けることになります。


● 自転車運転中のながらスマホ
  自転車に乗りながら通話する行為、画面を見る行為が禁止

→違反者6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
→交通の危険を生じさせた場合、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金


● 酒気帯び運転および幇助(ほうじょ)

  自転車の酒気帯び運転の他、酒類の提供や同乗・自転車提供を禁止

→違反者は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
→自転車提供者は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
→酒類の提供者・同乗者は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

【通信10月】マイナ保険証と現行保険証廃止【健康保険】


 12月2日以降、健康保険証の新規発行が廃止となり、マイナ保険証に移行します。発行済みの保険証は、令和7年12月1日まで使用できます(国民健康保険証は令和7年7月31日まで)。協会けんぽは郵送した「資格情報のお知らせ」を被保険者(社員)に配布するよう依頼しています。保険証について整理しておきましょう。


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 ①マイナンバー下4桁の記載
 ②保険証の代わりに、令和6年12月2日から使用できます。(医療機関等の受診、給付金の申請)

『人事担当者留意点』
● 令和6年12月2日以降の新規加入者については、「資格情報のお知らせ」は資格取得時に送付される
● 令和7年12月1日までに退職する社員からは、従来通り保険証の返納してもらう
● 令和7年12月2日以降は、被保険者が保険証自己破棄も可能となり返納がなくてもよい
● 令和6年12月2日以降、「資格確認書」は本人の申請により会社を経由して発行される
● 既存の加入者については、令和7年12月2日までにマイナ保険証がない人に対して「資格確認書」発行 退職時には会社に返納してもらう

【通信10月】「ジョブ型人事指針」を公表【労務】


 令和6年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」などで策定することが示されていた「ジョブ型人事指針」が正式に策定・公表されました(令和6年8月28日 内閣官房、経済産業省、厚生労働省連名)。ジョブ型人事の概要などを確認しておきましょう。

ジョブ型人事指針

◆そもそもジョブ型人事とは?
ジョブ型人事制度は、従来のメンバーシップ型人事制度とは異なり、職務ごとに必要なスキルや役割を明確にし、その職務に基づいて採用・評価・報酬設定を行う制度。専門性を重視し、社員が自らのキャリアを選択しやすくなるといわれている。グローバル化や働き手の減少に伴い、従来の年功序列や一括採用に依存した日本型の制度では対応が難しくなってきた。こうした中で、日本企業の競争力を高め、効果的な人材活用を促進するために、ジョブ型人事制度を導入する企業が増加している。

◆ジョブ型人事指針の概要
指針では、既にジョブ型人事制度を導入している20社の事例を取り上げている。

① 制度の導入目的、経営戦略上の位置付け
② 導入範囲、等級制度、報酬制度、評価制度等の制度の骨格
③ 採用、人事異動、キャリア自律支援、等級の変更等の雇用管理制度
④ 人事部と各部署の権限分掌の内容
⑤ 労使コミュニケーション等の導入プロセス

といった観点で紹介しており、各企業が自社のスタイルに合った導入方法を検討することを目指している。ジョブ型人事指針は、日本企業が今後の労働市場で競争力を維持・向上させていくための重要だとしている。

事例会社:富士通株式会社、株式会社日立製作所、アフラック生命保険株式会社、パナソニックコネクト株式会社、株式会社レゾナック・ホールディングス、ソニーグループ株式会社、オムロン株式会社、中外製薬株式会社、KDDI株式会社、三菱マテリアル株式会社、株式会社資生堂 等

 令和6年9月20日の日経新聞に岸田前総理の写真とともに、導入会社の全面広告が掲載されていました。長期雇用のためのメンバーシップ型人事制度と年功型賃金制度から脱却し、自律的なキャリア形成、専門性、生産性向上という言葉が並んでいました。日本企業の競争力の強化に欠かせないとしています。

【通信9月】最低賃金 10月から改定 【法改正】


 厚労省から令和6年度の「地域別最低賃金額改定の目安」が公表され、各都道府県労働局長が以下の金額でほぼ決定をしています。全国加重平均額50円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。今年度、改定額の全国平均は1054円となりましたが、厚労省は2030年代半ばまでに1500円への引上げを目指しています。

● 令和6年度地域別最低賃金 時給(抜粋)

都道府県名 令和6年度(円) 令和5年度(円)
東京 1,163 1,113
埼玉 1,078 1,028
神奈川 1,162 1,112
千葉 1,076 1,026
茨城 1,005 953
栃木 1,004 954
群馬 985 935
時給社員は最低賃金との比較が分かりやすいですが、月給者の時間単価も確認しましょう。変動賃金は最低賃金の計算には含まれないことに注意です。

【通信9月】労働安全衛生関係の一部手続き 電子申請義務化【法改正】


 労働安全衛生規則の改正により、令和7年1月1日から、労働安全衛生関係の一部の手続について、電子申請が原則義務化されます。対象となる手続を確認しておきましょう。

電子申請が原則義務化される労働安全衛生関係の手続

☑ 労働者死傷病報告
☑ 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
☑ 定期健康診断結果報告
☑ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
☑ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
☑ 有機溶剤等健康診断結果報告
☑ じん肺健康管理実施状況報告
 これらの報告について、当分の間は、この改正前の様式の提出などによる報告を認める経過措置も設けられています(令和6年改正省令附則2条ほか)。

【通信9月】定年後の賃金水準 定年前の8割以上増加【法改正】


 内閣府から、令和6年度「年次経済財政報告(経済財政白書)」が公表されました。今回の白書のテーマの一つに「高齢者就業の現状と課題」が含まれており、高齢労働者が培ってきた知識や経験といった有形・無形のストックについて、これをいかに有効に活かし、経済につなげていけるかが議論されています。そのなかで取り上げられていた「定年後の高齢雇用者の賃金水準」に関する分析の内容が話題になっています。

定年後の高齢雇用者の賃金水準(令和6年度 経済財政白書より)
● 定年後の高齢者の賃金を定年前の6~7割程度とする企業が45%と最も多いが、定年前の8割以上とする企業が増加し、現在、企業の約40%に!

 再雇用者の賃金水準についての裁判が次々と行われている。その影響などもあり、定年後の賃金水準を定年前の6割未満としている企業は全体の1割未満となっている。
 さらに、この5年間の動向をみると、定年前収入の7割程度以下の賃金とする企業の割合が約15%ポイント減少する一方で、逆に、8割程度からほぼ同程度とする企業の割合が約15%ポイント増加している。
その結果、定年前収入の8割以上とする企業が、現在、全体の約40%になっている(上図参照)。
 15~65歳の生産人口は減少しており、高年齢者雇用安定法では令和3年4月から「70歳までの就業確保措置を努力義務」としています。経済財政白書では、「人手不足感の高い企業ほど、高齢層を貴重な労働の担い手と考え、引留めやモチベーション引上げのために、定年前からの賃金の引下げ幅を縮小させている可能性がある」と分析しています。
 60歳定年の企業でも、60代前半の再雇用実態が少しずつ現役と変らない働き方になってきたようです。