改正雇用保険法が平成28年3月29日に成立しました。従来は65歳以上の高齢者は引退する者が大半で、新たに就労する場合でも週20時間未満の短時間勤務が多かったのですが、最近は70歳までの継続雇用制度を導入する企業もあり、フルタイムに近い雇用も増えてきました。従来の考えは今の社会情勢にそぐわなくなり、65歳以降に採用された者も雇用保険の被保険者として給付されるように法改正がされたわけです。
〈 現行の雇用保険 〉
労働保険料の年度更新は4月1日~3月31日を1年としているため、4月1日時点で64歳の労働者から雇用保険料は免除となっています。しかし、65歳以降も引き続き雇用されていると、雇用保険料は徴収されなくても高年齢継続被保険者となります。65歳以降に失業した場合には「高年齢求職者給付金」が一時金で支給されます。65歳以降に採用された者は、雇用保険の被保険者にはなりません。
〈 平成29年1月1日施行 何が変わるの? 〉
平成29年1月1日から、高年齢継続被保険者も65歳以降の新採用労働者も高年齢被保険者となります。これまで、65歳以上の者を対象としていなかった次の給付も見直され、それぞれの支給要件を満たす場合には65歳以上の者も対象となります。
1. 就職促進手当(再就職時に支給される手当)、移転費、求職活動支援費
2. 教育訓練給付金
3. 育児休業給付金、介護休業給付金
4. 高齢者に雇用保険料免除を廃止(ただし、経過措置があり、平成32年4月1日分から徴収)
〈 老齢年金と雇用保険の関係は? 〉
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給すると、65歳未満に支給される老齢年金は支給停止となりますが、65歳以上の者が受ける高齢者求職者給付金(一時金)については、現行制度と同様に老齢年金と併給されます。
すでに、65歳以降に採用され、雇用保険の被保険者ではない人もいると思います。厚生労働省は、この改正に伴い必要になる届出等は今後案内となります。