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ニュース

【通信11月】労働者不足の対処方法 令和元年「労働経済白書」【労務】


 厚生労働省から、「労働経済動向調査(2019年8月)」の結果が公表されました。同調査は、景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて調査し、労働経済の変化や問題点を把握することを目的に、四半期ごとに実施しているものです。
今回は、特別調査項目として挙がった「労働者不足の対処方法」について取り上げ、労働者が不足していると回答した企業が、人手不足対策として、どのような取組みを行っているのか、みていきます。


■■ 約7割の企業が対策を講じている ■■


 ● 労働者不足の対策

1.正社員等採用 正社員以外から正社員への登用の増加(過去1年間63% 今後1年間61%)
2.臨時、パートタイムの増加(過去1年間:44%、今後1年間:44%)
3.派遣労働者の活用(過去1年間:40%、今後1年間:36%)
4.配置転換・出向者の受入れ(過去1年間:24%、今後1年間:23%)


■■ 賃金アップより、社員の働きやすさを重視 ■■


 ● 賃金以外の社員の労働条件の改善

1.休暇の取得促進、所定労働時間の削減、育児支援や復帰支援の制度の充実(過去1年間:63%、今後1年間:34%)。これら労働条件の改善は、前回調査(2018年8月)と比べると上昇幅が最も大きく(前回:24%、今回:34%)、企業は、社員が働きやすい環境の整備に力を入れている
2.在職者の労働条件の改善(賃金)(前回:29%、今回:33%)
3.離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用(前回:34%、今回:38%)


■■ その他の対策 ■■

1.求人条件(賃金、労働時間・休暇、学歴、必要資格・経験等)の緩和
(過去1年間:63%、今後1年間:31%)
2.省力化投資による生産性の向上・外注化・下請化等』過去1年間:63%、今後1年間:31%)
ほとんどの会社が実感し、課題としている「人手不足」。今回の労働経済白書では、その分析がみっちりと行われています。「人手不足対策に取り組もう」とお考えであれば、参考になる内容となっています。ご不明な点がございましたら、気軽にお声掛けください。

【通信10月】10月から任意継続被保険者の手続きがスムーズに【健康保険】


 任意継続保険の保険証については、日本年金機構に提出される「資格喪失届」の情報が登録されたことを確認したうえで発送されています。しかし、令和元年10月からは任意継続被保険者資格取得申出書に「退職日の確認できる証明書」を添付することで、資格喪失の情報を待たずに発送することになりました。

退職日の確認できる証明書(いずれか1点)
● 事業主の退職証明書の写し
● 雇用保険離職票写し
● 日本年金機構に提出する資格喪失届の写し(日本年金機構の受領印がないものでも可) など

* 上記証明書類の添付は必須ではありません。添付がない場合は従来通り日本年金機構から喪失情報を確認した上で保険証の作成が行われます。

退職時の健康保険を2年間、任意で継続することができますが、申請期間が資格喪失後20日以内に終了しなければならず、任意被保険者の資格取得手続きがぎりぎりになりヒヤヒヤすることもありました。しかし、10月から退職日の確認ができ証明書を添付することで、手続きがスムーズに出来るようになったのは良かったです!

【通信10月】令和2年4月から協会けんぽへ健診の申込み不要に【健康保険】


 協会けんぽでは生活習慣病予防検診を実施し、健診費用の一部を補助しています。現在、生活習慣病予防検診を受診するには、加入者(被保険者)・事業主から協会けんぽへ申込書を提出するか、インターネットサービスを利用し申込みをする必要があります。この手続きについて、令和2年4月1日受診分からは、協会けんぽへの申込みを廃止するという案内がありました。

☆ 廃止後は、加入者・事業主から健診実施機関に対してのみ、予約申込みを行う
* 毎年3月に協会けんぽから事業主に次年度の健診対象者を記載した申込書を送付していますが、令和2年度受診分(令和2年3月送付予定分)からは、申込書に代えて健診対象者の情報を記載した生活習慣病予防健診対象者一覧を送付することになります。この一覧は申込書ではないため、協会けんぽへの提出は不要です。
注意:令和2年3月31日受診分までは現行通り、協会けんぽに申込み。

【通信10月】令和元年の公的年金の財政検証【年金】


 公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、少なくとも5年ごとに、財政検証を実施することとされています。
 令和元年(2019年)は、財政検証の年に当たるので、その公表が待たれていましたが、8月末にその結果が公表されました。今回の財政検証については、「年金制度改正の必要性」を強調したものとなっています。その概要を紹介しましょう。


■■ 経済成長と労働参加が進めば年金維持 ■■

● 経済成長と労働参加が進むケース(将来の実質経済成長率0.9~0.4%)では?
 → マクロ経済スライド終了時に、所得代替率は50%以上を維持。

● 経済成長と労働参加が一定程度進むケース(将来の実質経済成長率0.2~0.0%)では?
 → 2040年代半ばに所得代替率が50%に到達。その後もマクロ経済スライドによる調整を機械的に続けた場合、その終了時には所得代替率は40%台半ばに。

● 最悪のケース(将来の実質経済成長率▲0.5%)では?
 → マクロ経済スライドによる調整を機械的に続けたとしても、国民年金は2052年度に積立金がなくなり、完全な賦課方式に移行。その後、保険料と国庫負担で賄うことができる給付水準は、所得代替率38~36%程度にまで落ち込む。
   〈補足〉所得代替率とは、簡単に言えば、
   「モデル世帯(夫婦二人)の年金月額÷現役世代の男性の平均月給(手取り)」


■■ 被用者保険の適用拡大や保険料拠出期間の延長の法改正が有効 ■■

● 試算A(被用者保険の更なる適用拡大を実施したと仮定した場合)
 → これを実施すると、所得代替率や、基礎年金の水準確保に効果が大きい。

● 試算B(保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択〔具体的には下記参照〕を実施したと仮定した場合)
・基礎年金の加入期間の延長
・在職老齢年金の見直し(廃止)
・厚生年金の加入年齢の上限の引上げ(75歳まで)
・就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大
 → これらを実施すると、年金の水準確保に効果が大きい。

試算A、試算Bの法改正の準備を進めるために、財政検証の内容になっています。被用者保険の更なる適用拡大(500人以下の従業員数の会社も週20時間以上で社会保険被保険者)や厚生年金の加入年齢の上限の引上げは、企業実務にも大きな影響を及ぼしますので、その動向から目が離せません。

【通信9月】マイナンバーカードを健康保険証に【社会保険】

 令和元年度厚生労働省委託調査研究事業における検討内容を踏まえ、厚生労働省保険局がマイナンバーカード保険証利用の移行スケジュールを公表しました。まだ、マイナンバーカードの普及が進んでいませんが、10月以降マイナンバーカード取得要請等が始まり、オンラインで資格取得が出来るように環境を整えて行く予定のようです。

■■ 全体スケジュール ■■

 
 
◯ マイナンバーカード交付枚数(想定)

2020年
7月末
3000~4000万枚 マイナンバーカードを活用した消費活性化
2021年
3月末
6000~7000万枚 健康保険証利用の運用開始
2022年
3月末
9000~10000万枚 医療機関等のシステム改修概成見込み
2023年
3月末
ほとんどの住民がカードを保有

 
 
◯ マイナンバーカードの健康保険証として医療機関等に利用環境整備

2019年
10月
「医療情報化支援基金」設置、医療機関等のシステムの検討
2020年
8月
医療機関等におけるシステム整備開始
2021年
3月末
健康保険証利用本格運用 医療機関等に6割程度の導入を目指す
2021年
10月
マイナポータルでの薬剤情報の閲覧開始
2022年
3月末
診療報酬改定に伴うシステム改修時、医療機関等の9割程度の導入を目指す
2023年
3月末
概ね全ての医療機関等での導入を目指す

 
 
◯ マイナンバーカードを健康保険証にすることで、
1. 確実な本人確認とオンラインによる保険証の有効確認(事務の軽減)
2. 服薬履歴により、薬剤の重複回避等(薬剤の節約)
3. 特定健診データーのマイナポータルによる提供も行う(健康管理)
4. マイナポータルを活用した医療費情報を取得した場合は、医療費領収書の保存が不要
  等としています。

【通信9月】副業・兼業の割増賃金【労働法】


 政府は副業・兼業の促進を図ろうとしていますが、そのためには、労働者が複数の事業所を掛け持ちした場合の副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方を明確にする必要があります。
 厚生労働省に検討会を設けて検討を重ね、令和元年(2019)8月8日報告書としてとりまとめられました。報告書では、主に労働者の健康管理、時間外労働の上限規制、割増賃金という観点から、今後の方向性として考えられる選択肢の例示が整理されています。


■■ 割増賃金についてのポイント ■■

 労働者が雇用される副業・兼業した場合、割増賃金の支払い義務は後に雇用契約した事業所が支払うことになるとされていますが・・・。
 
「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方」に関する検討会報告書


● 割増賃金について

他の事業主の下で働く労働者の労働時間を把握することは、企業にとって非常に困難であり、結果として、1:違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと 2:別の事業主の下で働く場合に、労働時間を通算して割増賃金の支払い義務があることが時間外労働の抑制機能を果たしていない面もあること等を踏まえ、以下のような制度の見直しが考えられる。
ただし、労使の意見に隔たりが大きい現状も踏まえ、賃金債権の特殊性、労働時間管理の実態やそのあり方、仮に消滅時効期間を見直す場合の企業における影響やコストについても留意し、具体的な消滅時効期間については速やかに労政審で検討すべき。

1) 
労働者の自己申告を前提に通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること。

2) 
各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること。

その他、割増賃金の支払いについて日々計算するのではなく、計算・申告を簡易化すること等も考えられる。

★厚生労働省はこの報告書を踏まえ、労働政策審議会において引き続き検討を行います。

副業・兼業を政府主導で進めようとしていますが、企業に積極的な動きはまだありません。しかし、人生100年時代を見据えて、副業・兼業からフリーランスへ移行やイノベーションもあり得るのではないかと政府は提案しているようです。

【通信9月】10月1日からの通勤手当変更の確認を【実務】


 国土交通省から消費税率の引き上げに伴う鉄道運賃やバス運賃の変更認可をしたと9月5日に公表されました。鉄道・バス各社から10月1日以降の運賃が発表されると思います。給与計算の担当者は通勤手当変更の有無を社員に確認しておきましょう。

【通信8月】最低賃金 10月から改定額 公表【法改正】


 令和元年7月31日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は「2019年度地域別最低賃金額改定の目安について」を公表しました。最低賃金は4年連続で約3%の引き上げになりました。今年度と同じ上昇率が続くと、2023年には全国加重平均額が1000円になる見込みです。


■■ 東京・神奈川の最低賃金 時給1000円を超えた! ■■


 2019度地域別最低賃金 時給 (抜粋)

都道府県名 答申された改定額(円) 引き上げ額(円)
東京 1013 (958) 28
埼玉 926 (898) 28
神奈川 1011 (983) 28
千葉 923 (895) 28
茨城 849 (822) 27
栃木 853 (826) 27
群馬 835 (809) 26

 (  )は、2018年度地域別最低賃金額
 発効予定年月日は、異議審がない場合の最短のもの

● 全国加重平均額は27円(昨年度は26円)引き上げ  平成14年度以降で最高額となる
● 改定額の全国加重平均額は901円(昨年度は874円)
● 月給者も月の労働時間で割り、最低賃金を下回っていないかを確認する
● 最低賃金の対象除外:精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外・休日手当、臨時手当

菅官房長官は、「成長と分配の好循環を拡大するためには、賃上げを通じて消費を活性化していくことが重要」と記者会見で述べました。第2次安倍政権発足後の最低賃金の引上げ額は、今年度を合わせると152円の増加となります。短時間で効率よく働く、生産性の向上も求められています。

 

最低賃金に連動しがちな主婦パートの所得総額はさほど伸びていません。夫の被扶養者になれる所得の範囲で働こうとする人も多く、時給アップ分労働時間を減らしているからです。働き方改革も進めている中で、いかに就業時間内で効率よく働くことが出来るか・・、生産性向上が求められています。仕事が終わるまで働くのではなく、限られた時間で仕事を終わらせるという意識と工夫が必要のようです。

【通信8月】賃金等請求権の消滅時効 「論点の整理」を公表【労働法】


 労働基準法における賃金等請求権の消滅時効の期間は現行2年。しかし、令和2年(2020年)4月の民法の一部改正により、賃金を含む一般債権の消滅時効の期間について、複数あった時効の期間が統一され「知った時から5年(権利を行使することができる時から10年の間に限ります。)」となります。これに伴い、労働基準法に規定する賃金等請求権の消滅時効の期間をどうするか?という問題が生じ、厚生労働省は検討会で議論を進め、令和元年(2019年)7月に「論点の整理」を取りまとめました。


■■ 賃金等請求権時効2年のまま維持する合理性は乏しい ■■


 ● 賃金等請求権の消滅時効期間について → 現行2年から延長

消滅時効期間を延長することにより、企業の適正な労務管理が促進される可能性等を踏まえると、将来にわたり消滅時効期間を2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要と考えられる
ただし、労使の意見に隔たりが大きい現状も踏まえ、賃金債権の特殊性、労働時間管理の実態やそのあり方、仮に消滅時効期間を見直す場合の企業における影響やコストについても留意し、具体的な消滅時効期間については速やかに労政審で検討すべき。

 
● 年次有給休暇の消滅時効期間について → 現行2年を維持

年次有給休暇の繰越期間を長くした場合、年次有給休暇の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれがあることから、必ずしも賃金請求権と同様の取扱いを行う必要性がないとの考え方でおおむね意見が一致。

 
● 賃金台帳等の保管

記録の保存期間(現行3年)についても、賃金請求権の消滅時効期間のあり方と合わせて検討することが適当。

*以上、見直しの時期、施行期日等についても、検討すべき。

賃金の請求権の消滅時効の期間が延長されるとなれば、未払賃金についての争いになった場合の影響は非常に大きくなります。時間外手当等の未払賃金が発生していないか確認しておきましょう。今後は、労働政策審議会での議論が開始されることになります。

【通信7月】労働・社会保険 ワンストップでの届出(改正予定)【労務実務】


 行政のデジタル化等を推進し行政事務の簡素化及び効率化が図られていますが、労働・社会保険の手続きにおいても、以下の届出については来年(2020年)1月1日施行予定です。
 行政手続等の利便性の向上が加速していきそうです。このような改正に対応しつつ、生産性を向上させることを考えていきましょう。


■■ 健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案の概要 ■■

● 次の1~4に掲げる届書については、届出契機がそれぞれ同一であることから、統一様式(届出契機が同一のものを一つづりとした届出様式)を設け、統一様式を用いる場合にワンストップでの届出を可能とするため、規定の整備を行う。


1. 健康保険法及び厚生年金保険法に基づく新規適用届、雇用保険法に基づく適用事業所設置届並びに労働保険徴収法に基づく労働保険関係成立届

2. 健康保険法及び厚生年金保険法に基づく適用事業所廃止届並びに雇用保険法に基づく適用事業所全喪届

3. 健康保険法及び厚生年金保険法に基づく資格取得届並びに雇用保険法に基づく資格取得届

4. 健康保険法及び厚生年金保険法に基づく資格喪失届並びに雇用保険法に基づく資格喪失届

※1~4に掲げる届書のうち、健康保険法に基づく届書は、協会けんぽに係る届書に限る。
(施行期日(予定)=2020年(令和2年)1月1日)
☆ 労働・社会保険の手続については、この改正案のほか、大法人等での電子申請を義務化する改正も決定(施行期日=2020年(令和2年)4月1日)

【デジタル化基本原則】
1.デジタルファースト:個々の手続き・サービスが一貫してデジタルで完結する
2.ワンスオンリー:一度提出した情報は、二度と提出することを不要とする
3.コネクテッド・ワンストップ:民間サービスを含め、複数の手続き・サービスをワンストップで実現する
保険の成立・廃止、資格取得・資格喪失は、現在は労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所に届出なければなりませんが、来年(2020年)1月1日からワンストップで届出が可能になるようです。届出関係の法改正が次々とされていますので、随時お知らせしていきます。