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ニュース

【通信3月】年金制度強化法 順次施行【年金】


 令和2年5月29日に年金制度強化法が成立し、6月5日に公布されています。この年金法改正がいよいよ令和4年4月から順次施行されます。令和2年(2020年)10月号で記事(今号一部変更)にしていますが、確認してみましょう。

年金制度改正法(令和2年法律第40号)  年金制度一部改正


1. 被用者保険の適用拡大
短時間労働者(週20時間以上、月額賃金8.8万円以上等)を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件を段階的に引き下げ 【現行「従業員数500人超」】
令和4年10月から「従業員数100人超」 → 令和6年10月から「従業員数50人超」

2. 在職定時改定(65歳以上の在職者が対象)
退職時ではなく、毎年10月に改定
現行では退職(又は70歳時)でなければ年金額が改定されないが、高齢期の就労継続を早期に年金額に反映する仕組みを導入       

令和4年4月 (賃金+年金)が47万円以上から支給停止が開始
60歳台前半の在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から「47万円(令和2年度額)」に引き上げ)

3. 受給開始時期の選択肢の拡大
令和4年4月 年金受給開始年齢を75歳まで繰下げ可能
現在60歳から70歳の間となっている老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給開始時期の選択肢を、「60歳から75歳の間」に拡大 → 2020年10月号参照

4. 在職老齢年金制度の見直し(60代前半が対象)
在職老齢年金制度とは、60~64歳に支給される厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額(おおよそ月額給与)の合計額により年金額が支給停止される仕組みですが、この停止基準額が28万円から47万円に大幅に緩和されます。

5. 年金手帳の廃止
令和4年4月以降 初めて年金制度に加入する方には、「基礎年金番号通知書」が発行されます。

年金制度強化法の法改正についてわかりにくい点もあると思いますので、ご不明なことがありましたらご連絡ください。

【通信2月】令和4年度 年金額改定 0.1%引き下げ【年金】


●令和4年度の新規裁定者(67歳以下の)の年金額例 (令和4年1月21日プレス発表)

  令和3年度
(月額)
令和4年度
(月額)
国民年金
(老齢基礎年金 満額一人分)
65,075円 64,816円
(▲259円)
厚生年金
(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
220,496円 219,593円
(▲903円)

※ 上記前提条件:厚生年金は、夫の平均標準報酬が43.9万円、40年間勤務。妻は国民年金加入のみ。

【通信2月】傷病手当金支給期間通算化 具体的計算【労務】


 パート・アルバイトを中心に、雇用契約(入社)時点ではシフト表によるとだけ示し、勤務シフト表作成の段階で初めて具体的な労働日や労働時間を確定させるシフト制労働者がありますが、労務トラブルが起こりがちです。そこで、厚生労働省は留意事項をリーフレットで注意喚起しています。ポイントを上げましょう。

労働条件の明示 (労基法第15条第1項)



●シフト制労働者には、特に以下の点に注意しましょう

1.「始業・終業時間」
 労働契約締結時点での確定日については、労働日ごとの始業・終業時間を明記
 または、原則的な始業・終業時間を記載した上で、労働契約と同時に定める一定期間分のシフト表を交付

2.「休日」     
 具体的な曜日が確定していない場合でも、休日設定にかかる基本的な考え方を明記

3.「休憩」
 労働時間6時間以上は45分、労働時間8時間以上は60分の休憩時間を明記

4.「年次有給休暇」 
 所定労働日数、労働時間に応じて、労働者には法定の年次有給休暇が発生する
「シフトの調整をして労働日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取り扱いは認められない 

5.「休業手当」
 シフト表にある労働日・労働時間を使用者が取り消す場合には、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要 

6.「変更の合意」 
 一旦確定したシフト上の労働日・労働時間等の変更は、使用者とシフト制労働者と合意で行うこと 合意のルールを決めておく(お互いにドタキャンを防ぐ)

シフト制労働契約は柔軟に労働日・労働時間を設定できる点で当事者双方にメリットがある一方で、労務トラブルが多くなっています(特にコロナ禍になってから)。変更の合意ルールを決めておくことがポイントでしょう。

【通信2月】Society5.0ーSDGs 近未来の企業の姿【労働環境】


 最近、「Society5.0」「SDGs」のキーワードを経済ニュース等でよく耳にするようになりました。「Society5.0」とはAIとIoTを基礎として社会改革をしようとする政府の提言です。SDGsは2015年国連サミットで加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」からスタートしました。近未来の企業の姿から、労働・労務関係を考えてみましょう。

Society5.0(ソサエティ5.0) ― 社会のあり方の段階

Society1.0 → 狩猟社会 
Society2.0 → 農耕社会 
Society3.0 → 産業革命以降の工業社会
Society4.0 → インターネット普及による情報社会 現在
Society5.0 → 新たな社会 
最新のテクノロジーを活用し、人々の快適な暮らしとあらゆる社会課題の実現を目指す


●働き方との関わりは?

・AI活用により、様々なシステムの効率化・最適化を図る
・最新技術を活用し、言語などによる分断をなくす
・最新技術を活用し、障害や年齢による行動の制限を取り払う
・最新技術を活用し、場所や時間に縛られない多様な働き方ができる
・都市部と地方企業とのマッチングを行う
・危険な場所にはロボットが立ち入って、遠隔操作等を行う

SDGe(持続可能な開発目標)
SDGsに取り組むことで12兆を超える経済価値と3億8000万人の雇用が創出される(2017年タボス会議)とされ、経済界も取組みを始めています。

主に、
・ 環境問題 温暖化対策(脱炭素等)
・ 社会問題 貧困対策(発展途上国への支援等)
・ 人権問題 差別のない社会(年齢・性別・障害・人種・出自・宗教等)



●労働環境との関わりは?

・国際社会で注目される人権問題・・児童労働や強制労働、外国人労働者の不当な扱い
・人権リスク・・不公平な賃金・労働条件、工場等での労働安全衛生、24時間営業に伴う長時間労働等

環境問題・人権問題を考えずに経営は難しくなっています。経団連では会員向けに「人権を尊重する経営のためのハンドブック」等の資料を提供していますが、公開されています。会員企業だけでなく参考になる内容ですので、目を通してみるといいでしょう。

【通信1月】運転前後のアルコールチェックが義務化【労務】


 一定台数以上の自動車を使用する事業所で選任する安全運転管理者には、運転前に、運転者が飲酒により正常な運転をすることができないおそれがあるかどうかを確認することが義務付けられています。しかし、運転後に酒気帯びの有無を確認することやその確認内容を記録することは義務付けられていませんでした。
 昨年6月に千葉県八街市で発生した交通死亡事故を受け、安全運転管理者の行うべき業務として、運転前後におけるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等が義務化されました。


● 令和4年4月1日施行

① 運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
② 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること。

● 令和4年10月1日施行
① 運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うこと。
② アルコール検知器を常時有効に保持すること。

【通信1月】傷病手当金支給期間通算化 具体的計算【健康保険】


 令和4年1月から傷病手当金の支給期間が通算化されます。この改正について、厚生労働省では、細かな内容まで踏み込んだQ&Aを公表するなど、その周知を図っています。具体的ケースで確認しましょう。(傷病手当金の基本と通算化については、通信令和3年12月号参照)

厚生労働省Q&Aから

■ 問
以下のケースにおいて傷病手当金の申請がなされた場合、傷病手当金の支給期間および支給満了日はどうなるのか。
例)
① 令和4年3月1日~4月10日 労務不能(支給期間〔待期の3日を除く〕:38日間)
② 令和4年4月11日~4月20日 労務不能(支給期間:10日間)
③ 令和4年5月11日~6月10日 労務不能(支給期間:31日間)
■ 答
〇 上記のケースにおいては、令和4年3月1日から3日までの3日間の待期期間を経て、令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給期間は令和5年9月3日までの549日間となる。
①の支給期間(38日間)後、残りの支給日数は511日、
②の支給期間(10日間)後、残りの支給日数は501日、
③の支給期間(31日間)後、残りの支給日数は470日、となる。
〇 このように計算していって、残りの支給日数が0日となる日が支給満了日となる。

*傷病手当金の支給期間は1年6ヶ月であり○日ではないため、何日間となるのかを確認しておく必要がある

【通信1月】パワハラ防止措置の義務化(令和4年4月~中小企業)【労務】


 大企業でのパワハラ防止措置の義務化などの施行から1年が経過したことを踏まえ、経団連(日本経済団体連合会)から、「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果(令和3年12月7日)」が公表されました。報道で話題になった部分を中心に、そのポイントを紹介しましょう。

調査結果のポイント

1. 5年前と比較した相談件数
 ・パワーハラスメントに関する相談件数     「増えた」が44.0% 「変わらない」が30.8%
 ・セクシュアルハラスメントに関する相談件数  「変わらない」が45.3% 「減った」が28.8%
 ・その他のハラスメントに関する相談件数     いずれも「これまで相談なし」が50%超

2. ハラスメント防止・対応の課題
 ・コミュニケーション不足が63.8% 
 ・世代間ギャップ・価値観の違いが 55.8%      
 ・ハラスメントへの理解不足(管理職)が45.3%

3. ハラスメントの理解促進のための取組み
 ・ハラスメントに関する集合研修の実施が73.5%  
 ・eラーニング実施が66.5% 
 ・事案等の共有が61.8%

4. 相談しやすい体制の整備等
 ・複数の相談窓口の設置(人事、社外、コンプライアンス、EAP等)が82.5%、
相談窓口の定期的な周知が73.8%、社外の専門機関や専門家の活用が72.3%
 ・企業が相談内容を幅広く受付けている企業は50.3%

【調査目的】
企業における課題や取組みについて調査し、今後の政策を検討する参考とするとともに、効果的な取組等を広く展開するため
(調査期間:令和3年9月7日~10月15日/調査対象:経団連会員企業/回答企業数:400社)

上記は、大企業中心の調査結果ですが、令和4年4月からは、中小企業においてもパワハラ防止措置の義務化が適用されます。ハラスメント対策は、企業規模を問わず、各企業の重要な課題となります。
 紹介した調査結果は一例ですが、調査結果を見ると、各企業のハラスメント対策として、やはり研修などが重視されており、相談体制の整備等において社外の専門家を活用するケースも多いようです。この調査結果の詳細も含め、ご質問等があれば、気軽にお声掛けください。

【通信12月】副業・兼業を認めるか【労務】


 厚生労働省は、ひな形就業規則から副業を禁止する条を削除し、企業に副業・兼業を認める方向へ促しています。賃金が増える、起業をする人を増やしたい、イノベーションの創出を期待・・と厚生労働省は啓蒙の情報発信をしています。


●アデコ株式会社のアンケート調査(2021年、上場会社部長職・課長職対象)によると、
副業・兼業を認める4割、認めない半数以上、現在禁止の企業で将来的に認めることを検討は2割

●副業等に関しては、労働時間の把握(自己申告、通算ルール等)、健康管理、労災認定の特別ルール等気をつけなければならない点がある

労働者側は副業・兼業の希望が多くあります。その希望を受けて検討を始めた会社からの相談が増えてきました。副業を認めるにしても、雇用か否か、その従業員の時間外労働・休日労働の有無、管理職、年齢等、会社に合わせた条件を考えてみましょう。

【通信12月】国家公務員のためのマネジメントテキスト公開【法改正】


 内閣人事局から「国家公務員のためのマネジメントテキスト」が公開されています。もちろん、国家公務員のために作られたテキストですが、民間の管理職の方にも参考になる内容になっています。最近では国家公務員の若年者の離職が多いことと、国家公務員試験申込者数が少なくなっているため、管理職のマネジメント強化を図るようです。

テキストの構成


第1章 職場環境・職員意識の変化とマネジメントの必要性

    ワークライフバランス環境の向上、男性職員のほぼ全員(99%)が育休等を取得
    共働き世帯や役職者の中で、介護に従事する者が増加

第2章 マネジメントの基盤を作るコミュニケーション
    日常:相談しやすい雰囲気、話を聞いてくれそうな姿勢
    傾聴と自己開示
    実践:1on1面談(定期的なコミュニケーションの機会の設定)

第3章 業務をマネジメントする
    チーム全体で何をやるべきか、やめるべきかを判断
    効果的なジョブ・アサインメントを実地

第4章 人材をマネジメントする
    部下をよく知る、振り返り・承認

キーワードは、ワークライフバランス、傾聴、1on1面談等によるキャリア支援というところでしょうか。当事務所では管理職研修を実施していますので、ご興味がありましたらお声をおかけください。

【通信12月】傷病手当金の支給期間が通算化(令和4年1月1日~)【健康保険】


 治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障が出来るように健康保険法が改正されました。令和4年1月1日~傷病手当金の支給期間が通算化されます。傷病手当金の基本と改正前後の留意点を確認しておきましょう。

 傷病手当金の基本

●健康保険の被保険者が病気・けが(私傷病)で療養のための所得保障として給付される
●療養のために働けなかった日の4日目から支給される(待期期間は年次有給休暇で処理でもよい)
●同一の傷病につき1回のみ行う
●支給額は「支給開始日以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2」
●給与の支払いがない(支払い給与が一部の場合には、差額分が支給される)、1日単位で支給

 改正前後の違いは?
●令和4年1月1日前に支給開始した傷病手当金について、改正前の規定による支給満了日が施行日後に到来する場合は、改正後の規定が適用されます

現行の傷病手当金では、例えば30日分支給されて復職し、同一の傷病で1年6か月後に再度休職した場合には支給となりませんでした。改正後は、休職と復職を繰り返しても1年6か月分の所得保障がされることになり、治療と仕事の両立がしやすくなりますね。