厚労省は「有期労働契約に関する実態調査」の結果を公表し、有期契約労働者の契約更新が通算5年を超えると無期契約を申し込める権利が発生する「無期転換ルール」(2013年4月施行の改正労働契約法により新設)について、2018年~2019年の実態を初めて明らかにしました。調査は2020年4月時点で5人以上を雇用している企業5662事業所と2021年1月時点で労働者6670人に対して行われたものです。
約3割が無期転換申込権を行使 (事業所調査より)
● 有期契約労働者を雇用している事業所:41.7%
● 常用労働者に占める有期契約労働者の割合:22.4%
● 2018年~2019年度に無期転換申込権が生じ、その権利を行使した人の割合:27.8%
(上記、無期転換した人のうち、25.5%は事業所独自の制度等で無期転換)
● 無期転換後の身分:正社員9.2%, 限定正社員1.4%, 無期転換社員89.4%
● 有期契約労働者がいないと事業が成り立たない 62.4%
(理由:人件費コストが増大する 41.1%. 必要な労働者数が確保できない36.6%)
約4割が「無期転換ルール」を知らない (個人調査より)
● 年齢
60~64歳:15.9% 40~44歳:13.4% 50~54歳:12.4% 45~49歳:12.3%
● パートタイム労働者:50.5%, 契約社員:24.7%, 嘱託社員:14.1%
● 有期契約労働者の世帯主割合:39.4%
● 無期転換ルールの知識有無
知っている:38.5% 知らない:39.9% 名称は聞いたことがある:17.8%
● 無期転換希望する理由
雇用不安がなくなる:81.2% 長期的な見通しができる:55.6%
● 無期転換を希望しない理由
高齢だから:40.2% 現状に不満がない:30.2% 意味がない:20.5%
● 労働契約改善希望:56.4% (内訳:賃金等労働条件61.5% 安定した雇用形態31.1%)
調査の結果からみると、非正規労働者の中には軽易な仕事を選び労働条件が低くても納得している人がいる一方で、正社員の仕事を希望しても就けず、また世帯主の割合も約4割おり、労働条件の改善を求める人も多いことがわかります。そのため、非正規労働者の労働条件の改善を目的とした法改正が行われています。(無期転換ルール、同一労働同一賃金、最低賃金の引上げ等)