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ニュース

【通信10月】最低賃金の確認【労働法】


 10月から最低賃金が大幅に引き上げられました。最低賃金は月給も日給も時給に換算します。パート社員・アルバイトの時給を引き上げても、正社員の月給はそのままで最低賃金を割っていたということがないように確認をしましょう。

最低賃金の対象から除外する賃金

1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
3. 時間外割増賃金
4. 休日割増賃金
5. 深夜割増賃金
6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

*6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当は除外であることに注意

月給制の場合の換算方法

1. 最低賃金の時給換算できる賃金の合計は、
基本給+職務手当=180,000円

2. 1か月平均の労働日数・労働時間を計算
1か月平均の労働日数=240÷12=20日
1か月平均の労働時間数=20×8=160時間

3. 月給の時間単価を計算
180000円÷160時間=1,125円

【2023年10月~】
■東京  1,113円  ■神奈川 1,112円
■埼玉  1,028円  ■千葉  1,026円
* 左記の場合は最低賃金以上

*上記の月給の場合、1か月平均労働時間数が170時間の会社は、180,000円÷170時間=1,059円
となり、東京・神奈川では最低賃金以下となる。

今回、最低賃金の全国平均が1,000円を超えても、週40時間働いて年収200万円程度。欧州主要国の最低賃金の6~7割程度の水準であり、外国人労働者を日本に呼び込むためにも海外との賃金差を縮めていくことが必要とされています。国は2030年代半ばまでに最低賃金の全国平均1,500円を目指しています。

【通信9月】最低賃金 10月から改定 【法改正】


 厚労省から令和5年度の「地域別最低賃金額改定の目安」が公表され、各都道府県労働局長が以下の金額でほぼ決定をしています。全国加重平均額43円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。今年度、改定額の全国平均は1,004円となりましたが、厚労省は1,000円への引上げを目指しています。

● 令和5年度地域別最低賃金 時給 (抜粋)

都道府県名 令和5年度(円) 令和4年度(円)
東京 1,113 1,072
埼玉 1,028 987
神奈川 1,112 1,071
千葉 1,026 984
茨城 953 911
栃木 954 913
群馬 935 895
契約社員の時給を確認しましょう。10月1日から上記時給を下回る支払はできません。最低賃金の算定には、変動賃金を含むことができないことに気を付けましょう。精勤手当も不可。

【通信9月】自家用車通勤時の確認を!【労務】


 通勤方法は企業によって異なります。自家用車通勤を認めている場合で、万が一、従業員が通勤途中に事故を起こしたときには、会社も被害者に対して賠償が問われる運行供用者責任が問われることがあります。自家用車通勤を認める時には、車検をしているか、任意自動車保険を更新しているか、運転免許証を保有しているかを確認した方がいいでしょう。令和5年1月4日以降から車検証が電子化されているのですが、従業員から車検証が見当たらないとの声があるので、確認をしておきましょう。

電子化された車検証


●令和5年1月4日以降に車検が通ったものから変更
  紙で交付 → 電子での発行による車検証
  車検証の情報を電子的に読み取る「車検証閲覧サービス」

●電子車検証の券面には、有効期限・使用者住所・所有者情報の記載がない
 (1)車検証の内容は閲覧アプリを活用 → PDFデータ
 (2)3年間は「自動車検査証記録事項」の提供があるため、コピーの提出
*(1)(2)のどちらかの提出で対応しましょう。

【通信9月】令和4年度 長時間労働監督指導【労務】


 令和4年4月1日から、中小企業も時間外労働月60時間超の割増賃金が5割増になりました。また、労基法改正による時間外労働時間の上限規制も厳しくなりました。コロナ禍の活動停止から徐々に日常に戻る中で、労基署の臨検、監督指導も動き始めています。令和4年度の監督指導実施状況のポイントと主な事例を確認しておきましょう。

令和4年度 監督指導実施状況のポイント


令和4年4月から令和5年3月までに、33,218事業場に対し監督指導を実施
~26,968事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が認められた~

<主な法違反>
・違法な時間外労働があったもの
 → 14,147事業場(42.6%)
・賃金不払残業があったもの
 → 3,006事業場(9.0%)
・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの
 → 8,852事業場(26.6%)


● 倉庫業の事業場(労働者約100人)で勤務する労働者からの長時間労働の実態があるという情報に基づき、立入調査を実施

1. 倉庫内で商品の仕分けを行う労働者11人について、業務量に比して人員体制が不十分であったことから、36協定で定めた上限時間(特別条項:月79時間)を超え、かつ労働基準法に定められた時間外・休日労働の上限(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える、最長で1ヶ月当たり201時間の違法な時間外・休日労働が認められた。
……労働基準法32条違反及び36条6項違反で是正勧告

2.また、常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、労働者に対して心理的な負担を把握するためのストレスチェックを実施していなかった。
……労働安全衛生法66条の10違反で是正勧告

上記で紹介した監督指導事例は極端な例かもしれませんが、月80時間を超えるような時間外・休日労働が常態化している場合、過労死等のリスクが高くなり、労働基準法に規定されている時間外労働の上限規制に抵触するおそれもあります。また、労働安全衛生法で常時50人以上の労働者を使用している事業場に義務付けられているストレスチェックについても、実施を怠っていると指導・勧告の対象となります。
企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールは多々あります。違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。不明な点等があれば、気軽にお声掛けください。

【通信8月】令和5年度男性の育児休業取得率の公表【労務】

2023年4月に施行された改正育児・介護休業法により、常時雇用する労働者が1000人を超える企業は、育児休業取得の状況を年1回公表することが義務づけられました。これを受けて、2023年7月31日、厚生労働省「イクメンプロジェクト」による速報値の結果を公表しました。
従業員1000人超企業 男性育児休業取得率46.2% 育児休業等平均取得率46.5日
同じく、「令和4年度雇用均等基本調査(企業調査常用労働者10人以上、事業所調査常用労働者5人以上)」の結果も公表しました。
男性育児休業取得率17.13% 前年度より3.16%増

男性育児休業取得率の公表は、従業員300人企業に引き下げる検討が始まっています。

【通信8月】改正障害者雇用促進法等(令和6年4月1日~)【法改正】


 障害者雇用促進法と関連政省令が、令和6年4月1日を施行日として改正されることが決まっていま
す。企業実務に影響を及ぼす改正が含まれていますので、確認しておきましょう。

 障害者雇用促進法等の概要


 障害者雇用率の引き上げ(一般の民間企業に適用される率・人数)

*当該事業主については、次の①及び②の義務・努力義務が生じます。
① 毎年6月1日時点での障害者雇用状況のハローワークへの報告(義務)
② 障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」の選任(努力義務)

 週所定労働時間10~20時間未満で働く重度の身体知的障害者、精神障害者の算定特例
 障害特性により長時間の勤務が困難な障害者の方の雇用機会の拡大を図る観点から、特に短い時間で働く重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の方を雇用した場合、特例的な取扱いとして、実雇用率上、1人をもって0.5人と算定することとされます。
 ㊟ 週10~20時間未満で働く障害者を雇用する事業主に対して支給している特例給付金は、令和6年4月
1日をもって廃止となります。

 その他
「障害者雇用調整金・報奨金の支給方法の見直し」、「障害者雇用納付金に係る助成金の新設・拡充等」などが行われます。

【通信8月】三位一体の労働市場改革(骨太の方針2023)【労務】


 令和5年6月中旬に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」と「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」が閣議決定されました。中心的な政策方針として「新しい資本主義の加速」が掲げられていますが、その柱といえる「三位一体の労働市場改革」などを確認しておきましょう。

新しい資本主義の加速に向けて・・


三位一体の労働市場改革
リ・スキリングによる能力向上支援(5年以内に過半を個人経由での給付等)
個々の企業の実態に応じた職務給の導入
成長分野への労働移動の円滑化(失業給付制度の見直し、モデル就業規則の改正*、退職所得課税制度の見直し等)
という三位一体の労働市場改革を行い、客観性、透明性、公平性が確保される雇用システムへの転換を図ることにより、構造的に賃金が上昇する仕組みを作っていく。

家計所得の増大と分厚い中間層の形成
非正規雇用労働者の処遇改善、最低賃金の引上げ(今年は全国加重平均1,002円の達成)、
地域間格差の是正、適切な価格転嫁・取引適正化、資産運用立国の実現、
資産所得倍増プランの実行を行う。
 

多様な働き方の推進
短時間労働者に対する雇用保険の適用拡大の検討(2028年度までを目途に実施)、
働き方改革の一層の推進等を行う。
➔これらにより、物価高に打ち勝つ持続的で構造的な賃上げを実現する

どのような形で具体化されるのか、動向に注目です。なお、上記のの「モデル就業規則の改正」は、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けたモデル就業規則の改正を行おうとするものです。
また、長期勤続者優遇の退職所得課税制度の見直しについても議論が始まっています。

「長期勤続者優遇の退職所得課税制度」「自己都合退職者の退職金支給率」「失業給付金の制限期間短縮」「副業の促進」「年功型賃金から職務給(ジョブ型)へ」と国は変化を求めています。長い間、1社に長期勤務することを良しとした日本型雇用を変える動きです。現行以上に、人事制度には会社の明確な目的や理由が必要とされています。もう少し詳しく知りたい場合には、気軽にお尋ねください。

【通信7月】永年勤続表彰金は恩恵的なら報酬ではない【社会保険】


 令和5年6月27日の通達により、永年勤続表彰金の扱いが明確に示されました。企業により様々な形態で支給されるため、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に含めないとしています。


1. 表彰の目的
企業の福利厚生施策または長期勤続の奨励策として実施されるもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての職面が強いと判断される

2. 表彰の基準 
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの

3. 支給形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの

永年勤続表彰金の扱いは税務とは異なります。就業規則(内規)等で社員に周知されており、上記ルールの下の支給であれば、報酬とはならないと思われます。勤続年数の他、貢献度等で支給額が異なると、賞与と見なされる可能性があります。

【通信7月】副業への労働者の意識は?【労務】


 平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定(令和2年9月に改定)する等、政府は副業・兼業(以下、「副業」という)を推進しており、企業にもその対応を求めているところです。では、実際、労働者の副業の実施状況や副業への意識はどのようになっているのでしょうか。


1. 副業をしている人は6%
仕事を持つ人のうち「副業者」の割合は 6.0%となっており、まだ副業をしている人の割合が高いとはいえない状況

2. 副業を希望する人は約3割 
「副業をしたいと思う」:33.2%
「副業をしたいと思わない」:46.2%

3. 副業をしたい理由
 「収入を増やしたい」「定年後に備えるため」が上位
*労働政策研究・研修機構が実施した「副業者の就労に関する調査」
(調査期間:令和4年10 月3日~10 月13 日 有効回答:18 万8,980 人(18~64 歳の男女))

副業者の労務に関しては、労働時間管理や労働・社会保険など実務上押さえておくべきポイントが多岐にわたります。副業者がいない企業についても、あらかじめこれらの知識をある程度身につけておく必要があるでしょう。

【通信7月】精神障害の労災認定にカスハラ追加【労災保険】


 厚生労働省の専門検討会は、令和5年7月4日、精神障害の労災認定に関する報告を取りまとめ公表しました。近年の社会情勢の変化を踏まえ、認定基準全般について見直しが行われました。中小企業にパワハラ防止義務化が施行されて1年が過ぎましたが、カスハラ対策も求められています。カスハラの状況を放置すると会社の安全配慮義務違反を問われることになります。

報告書のポイント


1. 業務による心理的負荷評価表の見直し
 具体的出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」を追加
(いわゆるカスタマーハラスメント)

2. 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直し
 悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める

3. 医学意見の収集方法を効率化
 専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるように変更
*この報告書から読み取れることは、労災認定にカスハラを追加しただけでなく、精神障害の労災認定がされやすくなることが予想される。

カスハラの判断基準を明確にし、対応方法を考える



ステップ1:
カスハラの判断基準を明確にする・・・・・・・・・・・どこから行きすぎたクレームかの基準

ステップ2:
会社の方針を決める・・・・・・・・・・・・・・・・・チームで対応する等

ステップ3:
顧客の要求の妥当性の判断・・・・・・・・・・・・・・意見かどうか、頻度等

ステップ4:
対応方法を会社内で統一(社会通念上相当な範囲)・・・警察に被害届 出入り禁止等

SNSに嫌がらせ投稿をされたり、一日に何度も、または何時間もクレームが行われたりと、担当者だけで対応ができないケースも見受けられます。社員を守るために会社全体のカスハラ対応が求められています。