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ニュース

【通信8月】人手不足倒産 過去最多ペース【労務】


 帝国データバンクが、2024年上半期における「人手不足倒産」の件数を公表しました。2023年上半期の110件を大きく上回る182件もの「人手不足倒産」が発生しており、過去最多ペースで推移しています。
 1人が退職すると、残された社員でその穴を埋めることとなり、負荷に耐えきれずドミノ倒し型に退職が連鎖するケースも多いようです。採用の強化や、労働条件の改善による離職防止等、自社にあった人手不足対策を検討しましょう。

※「人手不足倒産」とは、法的整理(倒産)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等により人手を確保できなかったことが要因となった倒産のことをいいます。

【通信8月】公的年金 令和6年財政検証の結果公表【年金】


 令和6年7月初旬、「令和6年財政検証」の結果が公表されました。「財政検証」は、国民年金法及び厚生年金保険法に基づき、少なくとも5年ごとに、今後概ね100年間の公的年金財政の見通しを検証するものです。そのポイントをチェックしておきましょう。

給付水準の調整終了年度と所得代替率の見通し

●主な方針は3つ
 会社員の夫と専業主婦世帯のいわゆる「モデル年金」は、今年度は月額22万6,000円で、現役世代の男性の平均手取り収入37万円に対する割合(所得代替率)は、61.2%です。なお、所得代替率は、法律で50%を下回らないことが約束されています。
 今の年金制度は、将来に備えて、給付水準を物価や賃金の上昇率よりも低く調整するマクロ経済スライドが行われていますが、4つの経済前提ケースで調整終了年度と所得代替率は以下のとおりです。

 近年の実感に近いケースは「過去30年投影ケース」ですが、その場合の所得代替率は50.4%と、政府目標をぎりぎり上回る結果となりました。

【通信8月】賃上げの促進 人手不足対応(骨太の方針2024)【労務】


 令和6年6月中旬に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」と、それを加味して改訂された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」が閣議決定されました。これらは、近い将来の政策の方針やその実行のための計画を示すものです。人事労務関連の政策が気になるところです。骨太の方針2024から主要な個別事項を紹介します。

改正の全体像(主要なもの)

●主な方針は3つ

【賃上げの促進】
□  最低賃金の全国加重平均1,500円の2030年代半ばまでの達成
□  男女間賃金格差の是正
□  非正規雇用労働者の正社員転換の促進、同一労働同一賃金の更なる徹底
□  「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進、被用者保険の適用拡大等の検討
□  建設業、トラック運送業等の賃上げ  など

【三位一体の労働市場改革】
□  全世代のリ・スキリング(教育訓練給付の拡充、団体等検定の活用等)の推進
□  ジョブ型人事(職務給)導入のための指針作成  など

【人手不足への対応】
□  人手不足感が高い業種(運輸・宿泊・飲食等)における自動化技術の利用拡大のための自主行動計画の策定、リ・スキリング
□  大企業による中堅・中小企業との協働の奨励、新技術・商品の共同開発、副業・兼業を通じた人材派遣等  など

〈補足〉
 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版では、次のような更に具体的な事項も示されています。
・副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の見直し
・個々の企業の実態に応じた役職定年・定年制の見直し
・スタートアップ等に関する裁量労働制等の運用明確化  など

★どのような形で具体化されるのか、動向に注目です。生産人口(15歳~64歳)が減少している日本では、社員一人一人の能力と生産性を上げて、賃金も上げていこうという流れが見えます。最近はIT教育に力を入れる企業が増えてきました。例えば、50代社員を中心にITの資格取得の推奨やパート社員の基本的なIT知識の向上等です。

 労働人口を確保するために令和3年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業確保が努力義務となりました。改正高齢法から70歳までの就業確保の制度と65歳定年延長が進んできています。ご質問などがありましたら、お尋ねください。

【通信7月】マイナー保険証「資格情報のお知らせ」【社会保険】


 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴い、協会けんぽでは2024年9月以降、すべての加入者に対し、加入者自身の健康保険証の資格情報を簡易に把握して、円滑な健康保険証の諸手続を行うことができるよう、「資格情報のお知らせ」とマイナンバーの下4桁が記された加入者情報が送付します。
人事担当者は以下の内容を押えておきましょう。

1. 2024年12月2日以降、新規に健康保険証の発行はない。

2. 発行済みの健康保険証については、健康保険証廃止後、最大1年間、従来取り使用できる。

3. 「資格情報のお知らせ」は個人別に封入され、特定記録郵便で企業に送付される。
   そのため、従業員に渡す必要がある。

4. 従業員にはマイナンバーと健康保険証の紐付けが終了しているか確認の案内をする。

5. マイナンバーと健康保険証の紐付けの方法を案内(以下の通り)をする。
 ① 医療機関・薬局の受付(カードリーダー)で行う。
 ② 「マイナーポータル」から行う。
 ③ セブン銀行ATMから行う。

【通信7月】カスタマーハラスメント(カスハラ)対応【労務】


 顧客による理不尽・悪質なクレームを指すカスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」)という言葉は、ここ数年でよく聞かれるようになりました。最近はカスハラを深刻な問題ととらえ、接客業を中心にカスハラ対応に各企業の勢いは増しています。


1. 運送業
 SNS上での中傷のリスクのあったバスやタクシー運転手の氏名表示が、2023年5月に廃止された

2. 旅館業
 2023年12月に施行の改正旅館業法で、不当な要求等を行う者に対し宿泊拒否ができるようになった

3. 東京都
 カスハラ防止条例を制定する方向を示している

4. JR東日本をはじめとして各企業の事例が続いている
 カスハラ対応指針を策定・公表 

5. 自治体・店舗等
 SNS上等での中傷のリスクがあるため、名札は名字のみにし、名前の削除

 厚労省はカスハラ対応基準等を示した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表しています。カスハラによる労災認定もされるようになり、自社の従業員を守ることが求められています。

【通信7月】改正育児・介護休業法(令和7年4月1日~)【法改正】


 令和6年5月24日、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」が成立し、令和6年法律第42号として、同月31日の官報に公布されました。施行期日は、基本的には令和7年4月1日ですが、公布日から数段階に分けて施行されます。まずは全体像を確認しておきましょう。

改正の全体像(主要なもの)

●令和7年4月1日から施行されるもの

【育児関係】
□ 所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
□ 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
□ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
□ 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超え(現行1,000人超え)の事業主に拡大する。

【介護関係】
□ 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
□ 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
□ 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
□ 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

●公布の日から起算して1年6か月以内において政令で定める日から施行されるもの
【育児関係】
□ 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。
□ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・
配慮を事業主に義務付ける。

 これらの改正事項が施行されるまでに、就業規則(育児・介護休業規程)の改訂や、人事関係書類の整備が必要になります。改正内容を理解しておきましょう。
 不明な点等がありましたら、気軽にお声掛けください。

【通信6月】熱中症特別警戒アラート(一段上を新設)【安全衛生】


 環境省は、気象庁との協力のもと、すでに2024年4月24日から「熱中症特別警戒アラート」が発表されていますが、10月23日まで運用されます。このアラートは、国内の暑さが異常な高さに達し、熱中症による重篤な健康障害が発生する可能性がある場合に発表されます。日本気象協会は「ここ10年の暑さを上回って、2023年に匹敵するような猛暑になる可能性があり、残暑も厳しい」と見通しを立てています。発表された場合は、外出やイベントの中止、延期、変更を促しています。

熱中症特別警戒アラートとは

● 都道府県内において、全ての暑さ指数情報提供時点における、翌日の日最高暑さ指数(WBGT)が35に達する場合等に熱中症特別警戒アラートを発表する。

● 熱中症の危険性に対する気づきのため、熱中症警戒アラートは、翌日・当日の日最高暑さ指数(WBGT)33に達する場合に発表される。

WBGTは環境によって大きく異なるため、外仕事の場合には、黒球の付いたWBGT測定機器を用いて独自に測定することをお勧めします。

【通信6月】改正雇用保険法が成立【労働保険】


 令和6年5月10日、改正雇用保険法が成立しました。改正項目は、育児休業に関する給付新設、教育訓練やリ・スキリング支援の充実や雇用保険の適用拡大など、多岐にわたります。(育児休業に関する給付新設を含む子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案は参議院で審議中)。

 主な3つの改正

● 自己都合退職者の基本手当(令和7年4月1日~)
 ・公共職業訓練等を受ける場合は、給付制限なく受給できる。
 ・自己都合退職の給付制限が1か月に短縮。ただし、5年間で3回以上自己都合退職を行うと給付制限期間は3か月になる。

● 育児休業に関する新給付(令和7年4月1日~)
 ・出生後間もない期間に両親が14日以上育児休業した場合は67%に加えて13%が最大28日分支給
 ・育児短時間勤務中に支払われた賃金の約10%が支給

● 雇用保険の適用拡大(令和10年10月1日~) 
 ・「31日以上継続して雇用されることが見込まれ」かつ週10時間以上

今回の雇用保険の改正は、労働の流動化を妨げず、少子化対策、ダブルワーカーへの対応を目的としているようです。働き方の柔軟性が求められているのです人事担当者の手続きが増えそうですね。

【通信6月】退職金制度の見直し【労務】


 定年の引き上げや基本給ベースアップ等により、退職金制度について見直す企業が増えています。退職一時金の算定には基本給連動型がありますが、気づいたときには退職金支払債務が膨大になり経営上の大きなリスクを招くことがあるので注意が必要です。また、令和5年5月に「三位一体の労働市場改革の指針」を公表しましたが、労働移動の円滑化のため、退職金制度の見直しを促しています。

1. 基本給連動
 退職時の基本給×勤続年数別の支給率
計算が比較的簡単で管理が容易のため、多くの企業で採用されていた

2. ポイント制
 退職時の累計ポイント×単価(○○円)
 年度毎に定められたポイントを累積
 ポイントの種類:資格、等級、勤続年数、人事評価による点数

3. 別テーブル
 退職金用テーブルを作成

4. 定額方式
 例:10年以上勤務者に一律1000万円

 
成長分野への労働移動の円滑化(三位一体の労働市場改革の指針から)

【退職金制度に関して】

1. 退職所得課税制度等の見直し
 退職所得課税について、勤続20年を境に勤続1年あたりの控除額が40万円から70万円に増額されるが、長期勤続を優遇する税制が労働移動の円滑化を阻害しているとして見直しを行う。

2. 自己都合退職に対する障壁の除去
 企業の退職金制度設計にかかわる内容だが、厚労省公表の「モデル就業規則」の退職金の条文を改定。
 「自己都合による退職者で勤続●年未満の者には退職金を支給しない」「自己都合退職の場合、会社都合退職より支給率を下げる」旨の規定を削除した。

退職金は法律で支払いが義務づけられていません。自己都合退職に対する障壁の除去については、労働者にはメリットですが企業には負担が増えることになります。政府の指針だとしても縮小する程度が無難でしょう。

【通信5月】在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外【労務】


◆ 割増賃金の基礎となる賃金(原則)

 割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金として、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金が法律に定められています。在宅勤務手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入されていました。

◆ 在宅勤務手当を割増賃金の基礎に算入しない場合
 4月5日の通達(基発)により在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当は賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しないとされました。在宅勤務手当が実費弁償とされるために必要な計算方法は厚労省HPに示されていますが、国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で示されている計算方法を基本としています。