厚生労働省から、平成28年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。
「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルの未然防止、早期解決を支援するものです。「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。
民事上の個別労働紛争255,460件 相談内容件数 ベスト3
(1) いじめ・嫌がらせ 22.8%
パワハラ・セクハラ・マタハラ・・・、とハラスメントへの会社の対応が求められています。社員間の個別の問題と放置しておき、会社にも責任があると認定された裁判例は数多くあります。
パワハラも必ずしも上司が部下に行うばかりではなく、部下が上司に行う、また、セクハラも異性同士だけでなく、同性同士も認定されるなど、幅広い相談内容となっています。ハラスメント防止策は、社員教育・職場改善等経営側の課題と言えるでしょう。
(2) 自己都合退職 13.0%
解雇よりも自己都合退職の相談が上回りました。自己都合退職の相談は何?と思う方が多いのですが「退職の意思を伝えたのに、辞めさせてくれない」という相談です。
「辞めるなら、人を連れてこい!」「退職届を目の前で破られた!」「辞めるなら損害賠償金を払え!」等々。景気が良くなり、人手不足が背景にあるようです。
(3) 解雇 11.8%
いつの時代も解雇の相談は多いです。会社側は、解雇した従業員に納得させる理由が必要です。
就業規則に解雇事由の記載があり、教育・指導を行っても改善の見込みなしとした客観的な説明が求められます。説明ができない場合には、解雇権乱用とみなされます。
▼ベスト3の他には、以下の相談内容となっています。
(4) 労働条件の引き下げ 8.9%
(5) 退職勧奨 7.1%
(6) 雇止め 4.0%
(7) 出向・配置転換 3.0%
(8) 雇用管理など 2.0%
(9) 募集・採用 1.0%
(10) 採用内定取消 0.6% 他
【通信8月】自己都合退職の相談増!【労務】
退職理由が自己都合と言いつつ、本当の理由は職場での嫌がらせのこともあります。よく働いてくれていたのに残念ということにならないように、職場環境を整えることは重要です。よく、コミュニケーションが大事といわれますが、会社側の工夫がないと簡単にはいきません。皆様の会社ではどのような取り組みをしていますか?
« 【通信7月】月額変更届の提出は大丈夫?【社会保険】 【通信8月】雇用継続給付に係る支給限度額などの変更【雇用保険】 »