厚生労働省から、本年8月、「平成28年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」が公表されました。この是正結果の公表は、平成14年度から毎年度行われているものです。
今回公表されたのは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成28年度で不払いだった割増賃金(不払い残業代)が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。
平成28年度の監督指導による賃金不払い残業の是正結果のポイント
(1)是正企業数 1,349企業(前年度比 1企業の増) うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業 (2)支払われた割増賃金合計額 127億2,327万円(同27億2,904万円の増) (3)対象労働者数 9万7,978人(同5,266人の増) (4)支払われた割増賃金の平均額 1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円 |
●監督指導の対象となった企業では、監督指導のもと、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組を行い、改善を図っています。たとえば、次のような些細な時間が積み重なって、多額の不払い残業代になった事例も紹介されています。
(1)休憩時間中に会議が行われていた
→ その会議の時間は労働時間 = その時間分の賃金が不払いになっている
(2)会社が指示したユニフォームへの着替えを行った後にタイムカードを打刻していた
→ その着替えの時間は労働時間 = その時間分の賃金が不払いになっている
特に平成28年度から、働き方改革、長時間労働の是正、労働時間の適正把握などへの関心が高まっています。にもかかわらず、賃金不払残業に関する是正企業数は減少していません。厚生労働省では、引き続き、賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとのことです。
「我が社は大丈夫」という思い込みは危険です。少なくとも、仕事が終わったらすぐに会社から帰ってもらうことが基本です。
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