令和6年6月中旬に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」と、それを加味して改訂された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」が閣議決定されました。これらは、近い将来の政策の方針やその実行のための計画を示すものです。人事労務関連の政策が気になるところです。骨太の方針2024から主要な個別事項を紹介します。
改正の全体像(主要なもの)
【賃上げの促進】
□ 最低賃金の全国加重平均1,500円の2030年代半ばまでの達成
□ 男女間賃金格差の是正
□ 非正規雇用労働者の正社員転換の促進、同一労働同一賃金の更なる徹底
□ 「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進、被用者保険の適用拡大等の検討
□ 建設業、トラック運送業等の賃上げ など
【三位一体の労働市場改革】
□ 全世代のリ・スキリング(教育訓練給付の拡充、団体等検定の活用等)の推進
□ ジョブ型人事(職務給)導入のための指針作成 など
【人手不足への対応】
□ 人手不足感が高い業種(運輸・宿泊・飲食等)における自動化技術の利用拡大のための自主行動計画の策定、リ・スキリング
□ 大企業による中堅・中小企業との協働の奨励、新技術・商品の共同開発、副業・兼業を通じた人材派遣等 など
〈補足〉
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版では、次のような更に具体的な事項も示されています。
・副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の見直し
・個々の企業の実態に応じた役職定年・定年制の見直し
・スタートアップ等に関する裁量労働制等の運用明確化 など
★どのような形で具体化されるのか、動向に注目です。生産人口(15歳~64歳)が減少している日本では、社員一人一人の能力と生産性を上げて、賃金も上げていこうという流れが見えます。最近はIT教育に力を入れる企業が増えてきました。例えば、50代社員を中心にITの資格取得の推奨やパート社員の基本的なIT知識の向上等です。