厚生労働省の専門検討会は、令和5年7月4日、精神障害の労災認定に関する報告を取りまとめ公表しました。近年の社会情勢の変化を踏まえ、認定基準全般について見直しが行われました。中小企業にパワハラ防止義務化が施行されて1年が過ぎましたが、カスハラ対策も求められています。カスハラの状況を放置すると会社の安全配慮義務違反を問われることになります。
報告書のポイント
1. 業務による心理的負荷評価表の見直し
具体的出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」を追加
(いわゆるカスタマーハラスメント)
2. 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直し
悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
3. 医学意見の収集方法を効率化
専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるように変更
*この報告書から読み取れることは、労災認定にカスハラを追加しただけでなく、精神障害の労災認定がされやすくなることが予想される。
カスハラの判断基準を明確にし、対応方法を考える
ステップ1:
カスハラの判断基準を明確にする・・・・・・・・・・・どこから行きすぎたクレームかの基準
ステップ2:
会社の方針を決める・・・・・・・・・・・・・・・・・チームで対応する等
ステップ3:
顧客の要求の妥当性の判断・・・・・・・・・・・・・・意見かどうか、頻度等
ステップ4:
対応方法を会社内で統一(社会通念上相当な範囲)・・・警察に被害届 出入り禁止等
SNSに嫌がらせ投稿をされたり、一日に何度も、または何時間もクレームが行われたりと、担当者だけで対応ができないケースも見受けられます。社員を守るために会社全体のカスハラ対応が求められています。