令和3年4月1日施行の高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの就業機会の確保措置が努力義務となります。「人生100年時代」「勤続年数50年」を見据えた労務管理をどのように考えているのか(独)労働政策研究・研修機構の調査から企業の動向を見てみましょう。
1. 企業が予測する「人生100年時代」のイメージ
「働き方への配慮」と「自ら考え行動できる能力の獲得」
・従業員の勤続がより長期化するとともに、従業員の介護負担の増加等働き方への配慮が求められる。
・AI等の導入が進む技術革新の時代であり、地道に働く姿勢から「自ら考え行動できる能力」「柔軟な発想で新しい考えを生み出すことができる能力」を獲得する努力が求められる。
2. 日本企業の雇用管理と長期勤続化の課題
男性正社員40歳層以降のモチベーション
・長期雇用を前提とした従業員のキャリア形成に取り組んでいく傾向がみられる。
・長期雇用のもとで誰もが昇進できる訳でもないという現実もあり、企業としても特に男性正社員の40歳層以降で仕事に対する意欲が急速に低下するとともに、キャリア形成に向けた主体的な取り組みが停滞しがちなことを意識している。
3. キャリア形成のための諸制度
・自己申告制度(従業員の今後の仕事・キャリアへの意向を把握する制度)
・目標管理制度(従業員が自律的に設定した目標に基づく評価制度)
・メンター制度(先輩社員が相談役になって後輩社員を支援する制度)
・キャリア面談(人事部門担当者によるキャリアに関する個別面談)
4. ワークライフバランス
・経営トップの積極的な関わりが強まっている。
・短時間正社員制度導入に対する期待が高いが、短時間正社員制度導入のためには、短時間正社員以外の正社員の働き方や雇用管理の見直しも重要である。
調査の目的:
厚生労働省の要請により、社会的課題を労使間で検討できる資料の提供
調査期間:
令和2年10日から令和2年3月16日(令和2年1月1日時点)
調査対象:
従業員規模30人以上の企業 無作為に抽出 回収率13.2%