令和元年12月27日、労働政策審議会労働条件分科会は、「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(報告)」を取りまとめ、厚生労働大臣に建議を行いました。厚生労働省では、令和2年の通常国会に労働基準法の改正案を提出し、改正民法と同時の施行を目指しています。
■■ 労働基準法の賃金請求権の消滅時効のポイント ■■
1. 消滅時効期間は改正民法に合わせて原則5年とするが、当面は「3年」
2. 起算点は、「客観的起算点」を維持(権利を行使することができる時から起算)
3. 施行日は改正民法施行と同じく「令和2年4月1日」
* なお、賃金債権は大量かつ定期的に発生するものであり、その斉一的処理の要請も強いことから、施行期日以後に賃金の支払期日が到来した賃金請求権の消滅時効期間について、改正法を適用する。
● 2020年3月31日までの賃金債権の時効は現行の2年のまま
● 2020年4月1日以降の賃金債権の時効は3年に改正
■■ 労働基準法の賃金請求権の消滅時効のポイント ■■
● 賃金の支払い
● 休業手当
● 出来高払制の保障給
● 時間外・休日労働に対する割増賃金
● 有給休暇期間中の賃金
→ 時効3年
2年の時効を維持 ● 労災による災害補償の請求権 ● 退職時の証明 ● 年次有給休暇請求権 |
労働基準法は民法の特別法として労働者を守るために作られた法律です。今回の民法の改正により、契約の時効が5年に統一されたことにより、労働基準法も足並みを揃えることになります。経過措置として3年となりましたが、5年後の見直しでは5年になることが望ましいと労働政策審議会が意見を出しています。