令和元年の12月に厚生労働省から、「平成30年若年者雇用実態調査」の結果が公表されました。若年労働者(15~34歳)の定着のための対策を行っている事業所が増加しています。人手不足の状況が続く中、企業の存続を考えると、若年労働者の定着が不可欠です。企業がその対策に迫られていることが、調査結果に表れています。(5人以上を雇用する事業所17000、有効回答率55.3%)
■■ 過去1年間に自己都合により退職した若年労働者がいた事業所は44.9% ■■
● 過去1年間(平成29年10月~平成30年9月)に自己都合退職の若年労働者の有無44.9%の
雇用形態別では、
「若年正社員」:28.7%
「正社員以外の若年労働者」:21.8%
● 産業別にみると、
「宿泊業、飲食サービス業」:58.2%
「生活関連サービス業、娯楽業」:55.6%
「卸売業、小売業」:52.6%
の順で割合が高くなっている。
■■ 定着のための対策をしている事業所は正社員72.2%、正社員以外57.1% ■■
● 実施している対策
(1) 職場での意思疎通の向上 正社員59.0% 正社員以外59.2% (2) 本人の能力・適性にあった配置 正社員53.5% 正社員以外49.4% (3) 採用前の詳細な説明・情報提供 正社員52.0% 正社員以外49.2% (4) 教育訓練の実施・援助 正社員49.5% 正社員以外35.7% (5) 労働時間の短縮・有給休暇の取得 正社員37.8% 正社員以外22.8% (6) 職場環境の充実・福利厚生の充実 正社員36.6% 正社員以外30.3% (7) 仕事の成果に見合った賃金 正社員36.0% 正社員以外35.8% (8) 仕事と家庭の両立支援 正社員28.4% 正社員以外31.5% (9) 昇格・昇任基準の明確化 正社員25.1% 正社員以外15.8% (10) 配転・勤務地等人事面での配慮 正社員22.9% 正社員以外17.8% |
*前回調査(平成25年)と比較して大幅に傾向が異なるわけではありませんが、労基法改正の影響もあり、(6)「労働時間の短縮・有給休暇の取得の割合」の対策が「正社員」「正社員以外」両方で大きく伸びています。(前回 正社員25.9% 正社員以外22.8%)
日銀短観雇用判断によると、企業規模に関わらず2013年から人手不足感が増しています。特に、若年労働者の採用には苦労をしている声が聞こえてきます。せっかく採用した若年労働者を早期退職にならないように人事制度の変更や職場改善が行われているようです。