法務省から、本年6月2日に公布された「民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)」について、平成32年(2020年)の施行を目指して準備を進めているとのお知らせがありました。民法のうち債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がされていませんでした。
今回の改正は、民法のうち債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。
■■ 消滅時効:知った時から5年に統一 ■■
労働基準法の影響があると思われる改正が、消滅時効に関する見直しです。
⇒ 業種ごとに異なる短期の時効を廃止し、原則として「知った時から5年」にシンプルに統一
消滅時効の改正については、民法の特別法である労働基準法への影響が気になるところです。賃金の請求権の消滅時効は、労働基準法の規定により「2年」です。
裁判では、未払残業代について、不法行為に基づく損害賠償請求として3年と判断されたこともありますが、いずれにせよ、改正後の民法の原則的な時効の期間よりも短いことになります。統一するという観点や労働者保護の観点から、労働基準法の2年の時効がどのように判断されるのかが注目されています。
裁判では、未払残業代について、不法行為に基づく損害賠償請求として3年と判断されたこともありますが、いずれにせよ、改正後の民法の原則的な時効の期間よりも短いことになります。統一するという観点や労働者保護の観点から、労働基準法の2年の時効がどのように判断されるのかが注目されています。